令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修「ローカルライフデザインラボ」〜自分のキャリアを設計する~
1.自身の現在地や強みを知り将来展望を描く
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)は2025年9月18、19の両日、長崎県壱岐市で「令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修」を実施、県内の現役隊員28人が参加しました。今回もNCNが大切にしている「ローカルライフデザインラボ」(※)という理念に沿ってカリキュラムを編成。隊員のキャリア設計にスポットライトを当て、各隊員に自分自身の現在地や強みなどを確認してもらうとともに、将来展望を描いてもらいました。
※「ローカルライフデザインラボ」とは
地域の本質的な問題と向き合い、そこから見える可能性を磨き上げて届ける仕組みを考えるとともに、地域に関わる自分自身が豊かに暮らすために必要なことを試行錯誤しながら学び合おうとするもの

2.本研修の概要
テーマ:自分のキャリアを設計する
隊員向け研修では、行政との関り方、協力隊としての心構え、地域での暮らし方、任期後の仕事など、協力隊として活動する上で役立つ内容を提供しています。
今回のテーマは「自分のキャリアを設計する」。協力隊同士の交流を促し、連携・相談しやすい状況を作るとともに、自分の現在地や強みを知り、将来の働き方・暮らし方など、自分のキャリアを整理することを目指しました。
日 時:2025年9月18、19日
場 所:長崎県壱岐市 クロスポート武生水ほか
参加者:長崎県内の地域おこし協力隊員 28名
主 催:長崎県
企画・制作・運営:一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク
3.実施レポート
①講演 「地域を支える番頭的No.2とその適正とは」

【講師】
株式会社かたわら代表取締役 佐藤彰悟氏
【内容】
世の中には、もっと「No.2気質」を持った人材が必要。「翻訳」と「接続」が機能し、無駄な内戦を防ぐことができる。
理想のNo.2人材に求められる要素は、協働を主導する高いスキル、一定以上のIQとEQ(メンタルの安定)、「自分事」範囲の広さがすべての土台となっていること。
人とのかかわりは、こちらの言動を「相手がどう受け止めたか」が大切。これにより「信頼ポイント」がプラス方向にもマイナス方向にも蓄積され、最終的に相手の物事のとらえ方、行動に大きく影響する。
【質疑応答】
Q1.「信頼ポイント」がマイナスになってしまった相手の対処方法は?
A1.(同じことを体験し、それを通じて感情や経験を分かち合う)共通体験などが改善のポイントとなりうる。
【参加者の感想】
隊員は、自らが先頭に立ちたい気質の人材が多い印象で、自分自身もそうであることを再認識。No.2を探していこうと思った。
No.2を目指すには、何事もポジティブにとらえることが大切であることを学んだ。
②講演 「地域に根差した事業のリアル -民泊編- 」

【講師】
株式会社HONE/Astlocal株式会社代表取締役 桜井貴斗氏
【内容】
地域に根差した事業を進めるには「地域理解」(地域の特性や風土、産業、人などを理解すること)を深める必要がある。
自社の取り組みを点から線にすること、自らの使命(価値観、スタンス)を見つめ直すことも大切。
私自身は、民泊の開業に際し、時間をかけて地域に入り込んでいったほか、地域の支持者にも協力をお願いした。
【質疑応答】
Q1. 隊員が活動する地方では交通手段が整備されていない土地も多いが、そのようなエリアで民泊を開業する際はどうすればいいのか?
A1. 不便な土地であっても選んでもらえるような「特別感」を武器とするか、送迎サービスを含め何らかのモビリティーを用意する方法も考えられる。
【参加者の声】
普段、なかなか見る機会が無い売上高などのリアルな数字も教えてもらうことができ、貴重だった。
③事例発表


【講師】
けしごむはんこ作家(壱岐市地域おこし協力隊OG) 藤木彩乃(ふじきあやの)氏
【内容】
やりたいことがあるのはいいが、ミッションを放置してやりたいことだけにまい進するのは違う。税金で雇用されていることも忘れてはいけない。
任期中の3年間、どの時期にどのような取り組み(任期後に向けた準備など)を進めたのかを説明。島での恋愛事情も共有。
隊員の成功とは、移住先を離れても幸せに生きることだと考える。
【質疑応答】
Q1. 「移住先を離れても幸せに生きることが隊員の成功」という意見について、もう少し詳しく聞きたい。
A1. 例えば、関係人口(地域と継続的にさまざまな関りを持つ人のこと)として生きていくことなど。
【参加者の声】
仕事に対するモチベーションが維持できず悩んでいたが、ポジティブな話を聞くことができ元気が出た。
④芦辺浦地区フィールドワーク



⑤座談会 壱岐市の元隊員3人がタッグ 「株式会社いきさき」設立の経緯や今後の展望

【発表者】
株式会社いきさき
CEO/プロデューサー 長澤瑞輝氏
ディレクター/フォトグラファー 髙田望氏
ディレクター/ライター 田口有香氏
勝本浦まちづくり協議会事務局長 坂本栄子氏
モデレーター NCN理事 竹内章
【内容】
長崎県壱岐市の隊員OG3人が結集する形で2025年春、会社を設立。空き家の利活用をメインに、デザインやクリエイティブコンテンツ制作、観光関連事業に取り組む。
創業したことで隊員時代と立場は変わったが、引き続き地域が抱える課題に向き合って、事業としてアプローチしていきたい。できることを探していきたい。
隊員が起業するメリットは、任期中に人脈を広げられる点など。地域とのつながりは仕事にもつながる。壱岐市の隊員は、任期後に向けた準備を任期中から進めることができた。
【質疑応答】
Q1. どうやって売り上げを上げているのか教えてほしい。
A1. 現状は、デザインやコンテンツ制作。主にSNSの運用代行や、紙媒体の制作などを手掛けている。
【参加者の声】
少し先を行く「先輩」のリアルな話を聞くことができ参考になった。
任期後、起業も選択肢の一つとして考えてみようと思った。
⑥勝本浦地区フィールドワーク



⑦ワークショップ キャリアパスポート作成

【内容】
隊員を任期ごとにグループ分け。
事前配布していたキャリアパスポートの内容をグループ内で共有。
赴任地を選んだ理由を全体発表(数名)、キャリアパスポートの「活動計画と記録」を記入しグループ内で共有。
「先輩」グループへの質問タイム

4.総評
地域で活動する際、すべての人に好かれることは難しい。みなに好かれる必要もない。反対意見が出るのは、チャレンジしていることに対する「副作用」。挑戦を続けていると、自然と仲間も集まってくる。(桜井氏)
地域で活動する人を見ていると、「地域のために」という意識が強すぎて、言われるがまま「何でも屋」になってしまい苦しむ人が多い。オーダー待ちではなく、自分ができることを訴え、地域貢献につなげてほしい。(佐藤氏)

5.研修を終えて

NCNでは、「退任後の生業づくり」に着目して隊員研修を行っています。
その理由は、退任直前の生業探しでは選択肢が限られてしまい定住を選べないケースを見てきたから。着任2年目など早い段階で「退任後の生業づくり」へ行動を移してほしいから。
就職、起業、パラレルワーク…多様な選択肢から何を選ぶか、起業を選べるかは早い段階で行動し、情報を集めたり、小さく挑戦してみることが大切。地域おこし協力隊は、地域への移住や挑戦により自分を大きく変えられる3年間です。思いもよらない未来につながることもあります!
研修で得たヒントや気付き、つながりはもちろん、人生を考え行動する時間もぜひ大切にしてください(私は現役のころ、起業準備に挑戦すればよかったと後悔しています。苦笑)
令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修にご参加いただき、ありがとうございました。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク
代表理事 宮田 友香

令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修スタッフリスト
◎企画:小宮 大輔[NCN副代表理事]
◎企画サポート:宮田 友香[NCN代表理事]、久米川 泰伸[NCN常務理事]
◎当日運営:宮田 友香、久米川 泰伸、斎藤 節子[NCN理事]、竹内 章[NCN理事]
◎レポート記事:竹内 章
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