令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊向け研修 「ローカルライフデザインラボ」〜自分サイズの“なりわい”を探す~
1.任期後に向けた不安やモヤモヤを解消しよう
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)は2026年2月19、20の両日、長崎県雲仙市で「令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊向け研修」を開催しました。県内の現役隊員18人が参加。NCNが隊員・担当職員向け研修を実施する際に掲げる基本理念「ローカルライフデザインラボ」(※)に沿う形でプログラムを企画。今回は、任期後に向け隊員が抱えがちな不安やモヤモヤに焦点を当て、これらを解消することなどを目的としました。
※「ローカルライフデザインラボ」とは
地域の本質的な問題と向き合い、そこから見える可能性を磨き上げ、届ける仕組みを考えるとともに、自分自身が健やかに暮らすため必要なことを学び合おうとするもの

2.本研修の概要
テーマ:自分サイズの“なりわい”を探す
隊員向け研修では従来、行政との関り方、協力隊としての心構え、地域での暮らし方、任期後の仕事など、協力隊として活動する上で役に立つ実践的な内容を重視しています。
今回のテーマは「自分サイズの“なりわい”を探す」。協力隊同士の交流を促し、連携・相談しやすい状況を作るとともに、「なりわい」と「ライフスタイル」の解像度を上げ、任期後に向けた不安やモヤモヤを具現化し、行動に移すことを目指しました。
日 時:2026年2月19、20日
場 所:長崎県雲仙市(市小浜公会堂ほか)
参加者:長崎県内の現役隊員18名
主 催:長崎県(地域づくり推進課)
企画・制作・運営:NCN
3.実施レポート
①ゲストトークセッション 「先輩のキャリア徹底解剖!」

【登壇者】
島原市地域おこし協力隊OG 倉林実央(NCN)
諫早市地域おこし協力隊OG 伊藤優美さん
東彼杵町地域おこし協力隊OG 斎藤節子(NCN)
モデレーター 新上五島町協力隊OB 竹内章(NCN)
【内容】
役場の担当者から「雇用形態を切り替えたら起業に向けて動きやすくなる」との提案があり、任期2年目に雇用形態を「雇用型(会計年度任用職員)」から「委託型(個人事業主)」に変更した
「描くことを生業にする」ことが目標。現状、収入の中心は失業保険だが、職業訓練講座も受講しながらスキルアップを図っている
いろいろなことに挑戦する気持ちを忘れないで。協力隊活動は、うまくいかないことも多いが、いろいろ方向も変えながら様々なことにトライしてほしい
②雲仙市内フィールドワーク(雲仙エリア)



③公開壁打ち -隊員の事業構想にメンターがアドバイス-



【登壇者】
メンター 株式会社HONE/Astlocal株式会社社長 桜井貴斗氏
司会進行 小宮大輔(NCN)
【内容】
相談者
國仙悟志隊員(諫早市)
経営コンサルタント(中小企業診断士)の國仙隊員が、課題と感じている持続可能な収益モデルの設計などについて相談。
→専門家派遣だけでは生活は厳しい。都市部の顧客や大手との取引を収益の柱にして残りを地方で稼ぐスタイルもあるが、本質的ではない。
高木沙織隊員(波佐見町)
個人で月謝制陶芸教室を主宰している高木隊員が、月1回の体験イベント経由の集客では集客力に限界があり、売上目標に届きそうにない悩みを相談。
→主な解決策として、町内市場に依存しないモデルを提案。具体例として、観光客向け体験サービスの強化や、オンライン展開による商圏拡大などを挙げた。
④テーマ別3分科会 -任期後のなりわいと向き合う-



【3分科会の概要】
・ルーム1 「なりわい作りの土台となる戦略・強み発掘」
対象=やりたいこと・できることをどうビジネスにするか悩んでいる人向け
モデレーター 小宮(NCN)
メンター 桜井氏(株式会社HONE/Astlocal株式会社社長)
・ルーム2 「スキル×地域=パラレルワーク」
対象=大きな起業はイメージできないが、自分らしく長崎拠点で稼ぎたい人向け
モデレーター 宮田友香(NCN)
メンター 竹内(NCN)
・ルーム3 「就職・ネクストキャリア」
対象=起業ではなく就職を第一候補に考えている人向け
モデレーター 久米川泰伸(NCN)
メンター 堀口治香さん(雲仙観光局/元隊員)、伊藤さん(元隊員)
【内容】
(ルーム1)「心が動いた瞬間」を書き出すワークを実施。習慣とアンチバリュー(絶対にやりたくない事)を認識した上で「お金を払ってでも続けたいこと(消費/趣味の領域)」と「お金をいただいて、かつ心が満たされること(なりわいの種)」を確認
(ルーム2)離島で起業したメンターの歩みをベースに、地域に合わせて自らのスキルを編集する発想や、複数の仕事に従事するしなやかな働き方などに関するアイデアを共有
(ルーム3)任期後、観光団体に就職した元隊員のメンターが経緯を説明。当初は農業法人に就職する予定だったが「農家を観光面から後押しできるかもしれない」と就職を決めた際の思いなどに耳を傾けた
⑤講演 「声を『見える化』することから始めるまちづくり ~230人の声を集めてみた~」

【講師】
一般社団法人Obama ST. 山東晃大氏
(略歴)
兵庫県出身。2012年、長崎県雲仙市の小浜地域に移住。
専門は、再生可能エネルギーによる地域共生と地域経済効果の分析。
小浜では温泉熱を活用した発電事業と共に、まちづくり活動にも尽力。
インタビュアー 倉林(NCN)
【内容】
まちづくり活動の一環として、居酒屋で友人同士が気軽に雑談するような雰囲気をつくり、親しい友人で構成された小グループをいくつも設けることで、まちの未来や課題についての本音を引き出した手法を紹介
約230人から引き出した約860件の意見をもとに、「キャラ立ちマップ」など12の取組案が生まれた
地域に受け入れられるポイントは、あいさつの徹底、簡潔に自己紹介できること、傾聴力
もし隊員だったら、1年目は「これは」という人を見つけたら一対一で話す機会を積極的に設けたいと考える
【質疑応答】
Q1.まちづくりに気持ちが向かった理由は?
A1. もともと日本の多様で美しい田舎が好きだったので、衰退する田舎を何とかできないかという気持ちがあった。ただ、最初は深い考えなしに関わり始めた
⑥雲仙市内フィールドワーク(小浜エリア)



⑦ワークショップ キャリアパスポート作成・更新



【内容】
隊員を任期別にグループ分け
キャリアパスポートを作成・更新し、グループ内で意見交換
4.総評
民泊や地域のブランド作りなども手掛けているので、また個別にでも相談してほしい(桜井氏)
この1年間、協力隊事業に関わることで学んだことや培った人脈を、今後の県の仕事にも生かしたい(長崎県地域づくり推進課・國分大樹氏)
NCNの研修は、なりわいづくりをテーマとしているが、 これは3年間で解決する課題ではなく、ずっと向き合って考えていく必要がある。また、言語化は非常に重要。研修に参加しこんなことを考えた、ということをだれかに話してもらえれば(宮田)
5.研修を終えて
「やってみて、考えよう!」
起業も就職も、地域によって状況が大きく異なります。就職も、ネットに情報がなくても、口コミでいい求人と出会うこともあります。
だから、地域にどんな求人情報があるかハローワークに調べてみたり信頼できる人に聞いてみたり、起業に興味があれば、地域の商工会議所や商工会の「創業塾」の日程を調べてみたり(創業塾は受けておいて損はなし!)。
明日できる小さな行動をひとつ、やってみてほしいと思います。
やってみると、わかることがたくさんあります。
都会では難しくても、地方では生業にできることもたくさんあります。
いずれきっと、応援してくれる人や信頼できる仲間ともつながります。
地域おこし協力隊になったときの自分の覚悟と行動力に自信を持って!
すこやかに、ゆかいに、毎日を積み重ねていきましょう。
宮田 友香
令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊向け研修スタッフリスト
◎企画・進行:小宮大輔[NCN副代表理事]
◎企画サポート:宮田友香[NCN代表理事]、久米川泰伸[NCN副代表理事]
◎当日運営:宮田友香、小宮大輔、久米川泰伸、斎藤節子、竹内章、倉林実央[NCN理事]、伊藤優美[元隊員]
◎レポート記事:竹内章
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