令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊担当職員向け研修「ローカルライフデザインラボ」〜隊員支援の本質を学ぶ〜
1.隊員と地域、担当職員のより良い関係性構築を目指して
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)は2025年10月14日、長崎県内で「令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊担当職員向け研修」を開催し、県内各自治体の地域おこし協力隊担当職員17人が参加しました。NCNが重視している「ローカルライフデザインラボ」(※)という理念をベースに、今回は「隊員支援の本質を学ぶ」をテーマに、担当職員同士の連携を促すとともに、隊員と地域、自治体がより良い関係を築くための実践的なコミュニケーション方法などを学びました。
※「ローカルライフデザインラボ」とは
地域の本質的な問題と向き合い、そこから見える可能性を磨き上げ届ける仕組みを考えるとともに、地域に関わる人材が豊かに暮らすために必要なことを試行錯誤しながら学び合おうとするもの

2.研修概要
テーマ:隊員支援の本質を学ぶ
担当職員向け研修では、隊員の採用から任期後に向けた起業・就職支援など、自治体が協力隊制度を十分に活用するための情報をお伝えしています。
今回のテーマは「隊員支援の本質を学ぶ」。隊員の担当職員が、自治体の垣根を越えて連携・相談しやすい関係性を作るとともに、協力隊制度の本質を理解したうえで隊員と地域、自治体のより良い関係性を築くための実践的なコミュニケーション方法や、隊員の地域活動から定住までをスムーズにする受け入れ体制づくりについて学びを深められるようカリキュラムを構築しました。
日 時:2025年10月14日(火) 10:00~17:30
場 所:諫早市役所、東彼杵町内(フィールドワーク)
参加者:長崎県内の地域おこし協力隊担当職員 17名
主 催:長崎県
企画・制作・運営:一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク


3.実施レポート
①講演 「地域おこし協力隊制度の本質~『地域協力活動』を再考してみよう!~」
![稲垣文彦氏[公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構 事務局次長]](https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/EjOQVz3LqJ/s-4320x2880_v-frms_webp_fb24f031-9ece-48d3-a48a-f8ba07ff1d3d.jpg)
【講師】
稲垣文彦氏[公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構 事務局次長]
【内容】
地域づくりには「足し算」「掛け算」の2段階がある。「足し算」は住民の不安や悩みなどに寄り添いながらコツコツ行動するような支援段階で、「掛け算」は具体的な事業に取り組み大きな変化をもたらすようなステージ。「掛け算」は、十分な「足し算」活動のあとに取り組むことがポイント
多くの移住起業者は地域と良好な関係性を築いており、地域になじんでいる起業家は経営面でも黒字基調となっている
「地域」「活性化」といった言葉は、地域おこしに関わる地域住民、隊員、行政担当者によってイメージにずれがあることも多く、すり合わせが必要
【質疑応答】
Q1. 隊員のミッションを考える際のポイントを教えてほしい
A1. 前提として、協力隊制度を導入すること自体を目的にしてはいけない。ミッションは、地域課題を出発点とするべき
Q2. 隊員の活動エリアと居住地が離れている場合、地域に溶け込むことが難しいのではと考えているが、解決策はあるか
A2. 必ずしも難しくはない。地域のお祭りやサークル活動など、担当地域と離れて暮らしていても住民と関りを持つきっかけはある
【参加者の感想】
隊員と地域住民のかかわりを深めるための方策を改めて考えたいと思った
「活性化」など、定義があいまいなまま、なんとなく使っている言葉は確かにあり、隊員とのすり合わせが必要だと感じた
②座談会 「受け入れ体制構築におけるしくじりや意識の変化」

【発表者】
大浦美香氏[諫早市職員]
伊藤優美氏[諫早市地域おこし協力隊OG]
久米川泰伸[NCN常務理事]=ファシリテーター
【内容】
NCNのサポートも受けながら、諫早市が構築している地域おこし協力隊受け入れ態勢を紹介
力を入れている取り組みの一つの着任時オリエンテーションでは、「個人(=隊員)」と「地域」それぞれの目標(ビジョン)を、具体的な活動目標に落とし込むワークを実施していることなどを説明
隊員サポートをめぐる今後の改善点として、協力隊の担当職員が異動しても問題が無いよう、担当部署が全体として隊員をサポートしていく必要性を強調


③フィールドワークNo.1 東彼杵町・磯田隊員活動先訪問

【対応者】
隅英幸氏[ファーミライズ株式会社代表]
磯田和紀氏[東彼杵町地域おこし協力隊員]
竹内章[NCN理事]=モデレーター
【内容】
東彼杵町でイチゴ栽培の技術取得などを目指し活動している磯田隊員と、磯田隊員の研修先である「ファーミライズ」の隅氏に、両者が良好な関係を構築するために心掛けていることなどをヒアリング
隅氏は、磯田隊員が家族連れで移住したことを受け「覚悟があり、やり通してくれそうな印象を持った」。自宅で磯田隊員の家族とBBQをするなど家族ぐるみの付き合いも。ただ「怒るべき時は、しっかりと怒る」。
磯田隊員は、地域に溶け込む手段として消防団に入団。町の協力隊OGにもいろいろなアドバイスをもらっている。隅氏の配慮で、仕事が忙しい時期でも「横のつながり」を広げるため、協力隊の研修には必ず参加するよう指示を受けている
③フィールドワークNo.2 東彼杵町・松野隊員活動先訪問

【対応者】
山口貴裕氏[東彼杵中学校教諭]
松山幸一郎氏[東彼杵町職員]
松野隆太氏[東彼杵町地域おこし協力隊員]
竹内章[NCN理事]=モデレーター
【内容】
東彼杵町で、子どもスポーツ振興コーディネーターとして活動している松野隊員と、町担当職員の松山氏、活動現場で交流がある山口教諭の三者に、お互いの関わり方などを聞いた
松野隊員は、町内の教員と一緒に朝、ジョギングをするなど、どんどん地域に入り込むタイプ。「いじられキャラ」的な素養もあり地域に愛されている一方、企画したスポーツイベントの開催に際してはスポンサーを集めてくるなど行動力もある。
松野隊員は「とにかく与えられたミッションに一生懸命取り組むことを心掛けている」ことを強調。モチベーションが下がることもあるが、そんな時は、隊員として採用され「チャンスをもらっている」ということを思い出し、気持ちを高めている。松山氏とは、ミッションの進め方などに関して積極的にコミュニケーションを取っている
4.総評


今回の研修で出た意見・感想も参考にしながら、県としても来年度事業の施策を固めていきたい[長崎県地域づくり推進課・國分大樹氏]
東彼杵町でのフィールドワークでは、現場に足を運ぶ大切さを改めて実感した。東彼杵町が積み上げてきたまちづくりの奥深さに感動した[稲垣氏]
5.研修を終えて
長崎県の担当職員向け研修として、はじめて「フィールドワーク」を取り入れた研修を実施しました。
公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構・稲垣先生の講義の後、全国平均よりも定住率が高い東彼杵町を訪問。講義内容を踏まえ、現場で直接話を聞くことで、オンラインではなかなか感じ取れない、行政・地域・協力隊の三者の関係性や、まちとしての積み重ねを改めて体感する機会となりました。
人手が限られる現場において、隊員の受け入れ体制やサポート体制をどのようにつくっていくか。
手間ひまはかかりますが、隊員採用前の立場を越えたチームづくりとチームでの対話の蓄積こそが「地域おこし協力隊」制度運用の軸となり、日々のコミュニケーションが定住率や地域力向上につながる。そう改めて実感しました。
今後も、県内外を問わず、職員の皆さんや地域の方々の汗と工夫から学びながら、県内の地域力向上に向けて取り組んでまいります。
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク
代表理事 宮田友香
令和7年度第2回長崎県地域おこし協力隊担当職員向け研修スタッフリスト
◎企画:小宮大輔[NCN副代表理事]
◎企画サポート:宮田友香[NCN代表理事]、久米川泰伸[NCN常務理事]
◎当日運営:宮田友香、久米川泰伸、斎藤節子[NCN理事]、竹内章[NCN理事]
◎レポート記事:竹内章
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