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令和8年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修会「ローカルライフデザインラボ」〜地域とともに暮らす土台=信頼関係づくり〜

令和8年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修会「ローカルライフデザインラボ」〜地域とともに暮らす土台=信頼関係づくり〜

1.地域との信頼関係を築き、活動を円滑に進めよう

一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)は2026年7月16、17日の両日、長崎県西海市で「令和8年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修会」を開催しました。今回は、「信頼関係づくり」をテーマとし、円滑な隊員活動や任期後の仕事・暮らしを実現するため、地域との信頼関係の築き方について、県内の現役隊員30名が参加し学びました。

2.本研修の概要

テーマ:地域とともに暮らす土台=信頼関係づくり

隊員向け研修会では、行政との関わり方や協力隊としての心構え、地域での暮らし方、任期後の仕事など、協力隊として活動する上で役に立つ実践的な内容を重視して実施しています。

今回のテーマは「地域とともに暮らす土台=信頼関係づくり」。地域おこし協力隊員が目指す活動や、任期後の仕事・暮らしを実現するためには、地域の人たちとの信頼関係が欠かせません。

研修会では、地域おこし協力隊制度や活動の基本を学ぶ講座に加え、国際協力機構(以下、JICA)海外協力隊経験者による講演とワークショップ、西海市内でのフィールドワーク、現役隊員・隊員経験者との交流を行いました。

異なる文化や価値観を持つ人と、どのように関係を築くのか。地域内で自分らしく活動し、任期後の仕事や暮らしへつなげるには何が必要なのか。県内で活動する隊員同士が、体験と対話を通して考える2日間となりました。

  • 日 時: 2026年7月16、17日

  • 場 所: 長崎県西海市(大瀬戸コミュニティセンターほか)

  • 参加者: 長崎県内の現役隊員30名

  • 主 催: 長崎県(地域づくり推進課)

  • 企画・制作・運営: 一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)

3.実施レポート

①すこやかにゆかいに 地域おこし協力隊のコツ

【登壇者】宮田友香(NCN)

【登壇者】
宮田友香(NCN)

【内容】

  • 着任直後から大きな成果を求めすぎず、地域を知ることから始める姿勢

  • 1年目は地域を知って「信頼貯金」を積み、2年目は地域の人と一緒に小さな挑戦を始め、3年目はその挑戦を育て、任期後の仕事や地域の未来へつなげていく考え方を共有

  • 活動内容や活動経費に関する担当職員との事前相談、計画書・報告書の重要性

  • 公共的な目的と自治体のルールに沿った活動経費の使用

  • 任期後の仕事を複数の小さな仕事からつくる「マルチワーク」

  • 隊員時代に地域の人から頼まれた小さな仕事が、任期後の生業に育つこともある

②JICA海外協力隊の経験から学ぶ信頼関係づくり

【登壇者】小田智子氏(JICAデスク長崎・国際協力推進員)

【登壇者】
小田智子氏(JICAデスク長崎・国際協力推進員)

【主な内容】

  • 南米パラグアイでのJICA海外協力隊を経験(ミッションは音楽指導)

  • JICA海外協力隊と地域おこし協力隊の共通点

  • 相手の国や地域の歴史、政治、文化、価値観を知ること、リスペクトする姿勢の大切さ

  • 自分から挨拶し、積極的にコミュニケーションを取る姿勢、地域行事への参加を通じた関係づくりを◯◯

③言葉を使わないカードゲームで「常識の違い」を体験

講演後は、トランプを使った異文化理解ワークショップ「バーンガ」を行いました。

【ワークショップの主な内容】

  • 言葉を使わずに進めるグループでのカードゲーム

  • 表情、視線、身振りを使った非言語コミュニケーションの体験

  • グループごとに異なる「当たり前(ルール)」でのゲーム運用

  • 文化や価値観の違いに優劣をつけない考え方

  • 地域の人に自分のことを知ってもらう自己開示の重要性

④西海市内フィールドワーク(雪浦地区)

バスで雪浦地区へ移動し、フィールドワークを実施1
バスで雪浦地区へ移動し、フィールドワークを実施2

講演とワークショップの後は、バスで雪浦地区へ移動し、フィールドワークを実施しました。実際に地域を歩き、地域の風景や活動拠点、人が集まる場所に触れることで、会議室での講義だけでは分からない地域の暮らしや、人と人との関係を体感する時間となりました。

【案内】
山下憲昭隊員(西海市地域おこし協力隊)

【主な内容】

  • 雪浦エリアの地域資源や活動拠点の訪問

  • 地域内で人が集まり、交流する場所の見学

【訪問した場所】

  • ゆきや

  • 川添酢造有限会社

⑤ゲストハウス森田屋で地域との関わりを考える

フィールドワーク後は、雪浦ゲストハウス森田屋を会場に、西海市地域おこし協力隊の山下隊員と、NPO法人雪浦あんばんねの渡辺督郎さんによる座談会を実施しました。

【登壇者】
山下憲昭隊員(西海市地域おこし協力隊)
渡辺督郎氏(NPO法人雪浦あんばんね 代表)

【インタビュアー】
倉林実央(NCN)

【主な内容】

  • 毎週金曜日に雪浦ゲストハウス森田屋で開かれる地域交流居酒屋など、人が日常的に集まる場へ継続して参加することで、山下隊員は地域住民との接点を増やしていった

  • 受け入れ側が積極的に地域との関係をつくることが、着任初期の定着には重要

  • 人が集まり、気軽に話し合える拠点の存在が、信頼関係や地域活動の土台になる

  • 飲み会で交わした約束は必ず実行する。それによって数々のイベントが生まれた

  • 日頃から積極的に挨拶をし、自分の立場や活動内容を丁寧に説明することも、住民の警戒心を和らげるうえで重要

【質疑応答】

Q1. イベントを長く続けるために意識していることは?

A1. 疲れたときは休めばいいと思っている。参加を強制することはしない。無理をしないことが大切で、その時に動く人、動ける人がやる

Q2. 新しい企画に地域の有力者などから反対意見が出て、当初の目的から外れてしまった場合はどうすればよいか?

A2. 雪浦でも反対する人がいなかったわけではない。その時々で協力的な人もいれば、反対する人もいる。そのため、基本的に「この指とまれ方式」で活動している。趣旨に賛同した人が集まって進める

⑥隊員時代のつながりから生まれた一棟貸しの宿

2日目は、西海市地域おこし協力隊OBの堀内寛生氏への公開インタビューから始まりました。現役時代は“一般社団法人山と海の郷さいかい”に所属し、体験民泊事業の推進や、さいかい元気村での自然体験活動などに携わった堀内氏。退任後は西海市に残り、海沿いの古民家を活用した一棟貸しの宿を開業しています。

【登壇者】
堀内寛生氏(西海市地域おこし協力隊OB)

【インタビュアー】
倉林実央(NCN)

【主な内容】

  • 海沿いの古民家を活用した一棟貸し宿の開業

  • 協力隊時代の関係者から物件を紹介された経緯

  • 草刈り、木の伐採、進入路の整備などの開業準備

  • 開業準備を支えた地域の人たちとの関係

  • 西海市に残る理由になった友人や移住者との出会い

  • 自治体や商工会の起業・創業支援制度の活用

【質疑応答】

Q1. 宿開業の準備をするにあたり、どのような補助金を使われたか教えてください

A1. 地域おこし協力隊の起業補助金100万円と商工会の創業支援補助金 52 万円の合計150 万円を利用した

Q2. 業務委託で会社に所属して働いているが同業他社との関係づくりに悩んでいる。そのような関係性のところと、どのように関係を築いたか教えて欲しい

A2. 体験観光は他市町も取り組んでいたが、競合他社というよりは仲間みたいに接してやっていた

⑦現役隊員が伝える西海市の体験観光

続いて、西海市で体験観光マネージャーとして活動する永田隊員と日影隊員が、現在の活動について発表しました。2人は、“一般社団法人山と海の郷さいかい”に所属し、西海市の自然や農林漁業、地域の暮らしを生かした体験観光や、教育旅行の受け入れに取り組んでいます。

【登壇者】
永田ゆめ隊員(西海市地域おこし協力隊)
日影十也隊員(西海市地域おこし協力隊)

【主な内容】

  • 西海市で暮らして感じた自然や地域の人の魅力

  • さいかい元気村を拠点とした自然体験、農業体験、キャンプ、教育旅行

  • ミカン収穫、流しそうめん、竹箸づくり、ゆで干し大根を活用した体験プログラム

  • 大人数の教育旅行に対応する受け入れ体制づくり

  • 西海市内の戦争遺跡を活用した平和学習プログラム

  • インストラクター養成やモニターツアー

【質疑応答】

Q1. 体験観光事業では、どのように収益を確保しているか?

A1. 地域側だけ、参加者側だけが得をする形ではなく、関係者にとってメリットのある関係をつくることを重視している。一般向けイベントなどでは、必要な利益を確保できる価格や運営方法を検討

Q2. ミカンを地域活性化や教育旅行に活用する際、何が大切か?

A2. 単に収穫体験を提供するだけではなく、ミカンづくりや地域の暮らしについて事前に学ぶ機会を設けることが大切。また、農家の考えや作業状況を尊重し、農家と連携して内容をつくる必要がある

⑧音浴博物館での視察・フィールドワーク

現役隊員の活動発表後は、音浴博物館へ移動し、西海市地域おこし協力隊の古賀隊員による案内のもと、館内の視察とフィールドワークを実施しました。

【案内者】
古賀タケル隊員(西海市地域おこし協力隊)

【主な内容】

  • 音浴博物館の設立経緯や施設の概要

  • 世界で初めて誕生したレコードを聴く体験

  • 所蔵するスピーカーで音を聴き比べる体験

⑨研修会の振り返り

研修の最後には、大瀬戸コミュニティセンターへ戻り、2日間の振り返りを行いました。
参加者はグループに分かれ、研修で印象に残ったことや、自分の地域に戻って実践したいことを共有しました。その後、各グループの代表者が、話し合った内容を発表しました。

【主な内容】

  • 2日間の研修で印象に残ったことの共有

  • 自分の地域へ戻って実践したいことの整理

  • 考えたことを言葉にし、実際の行動へ移すことの重要性

  • 「地域のためにしてあげる」ではなく「地域で活動させてもらう」という姿勢

4.総評

地域との信頼関係を築くには、相手を知ろうとするだけでなく、自分の考えや背景も伝えることが大切。違いをすぐに否定せず、対話を重ねながら互いを知ること。その積み重ねが、相談し合い、一緒に活動できる関係につながる。(小宮大輔/NCN)

5.研修を終えて

私は長崎県へ移住して12年が立ちますが、いまだに地域でわからないことや教えてもらうことがたくさんあります。今回の研修でも何度もキーワードとして出てきた「地域へのリスペクト」は、隊員の地域協力活動にも、任期後の人生にも欠かせないものです。私も改めて地域にリスペクトを持って日々を過ごしたいと感じた学び多き2日間でした。

講義とワークショップをご担当いただいたJICA小田さんには、座談会から間もなくこのような形でまたお力をお借りし、心から感謝申し上げます。

結びになりますが、研修の開催に際しまして、西海市の職員さま、隊員のみなさん、OB堀内くん、雪浦地区や音浴博物館の皆様に多大なるお力添えをいただきありがとうございました。

隊員のみなさんの日々が、すこやかでゆかいな日々でありますよう、心から願っています。困ったことがあればいつでもNCNへ連絡くださいね!

宮田友香

令和8年度第1回長崎県地域おこし協力隊向け研修会スタッフリスト

◎当日運営:宮田友香、小宮大輔、斎藤節子、倉林実央[NCN理事]、伊藤優美[元隊員]
◎レポート記事:倉林実央

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