令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊担当職員向け研修 「ローカルライフデザインラボ」〜協力隊制度を理解する〜
1.「ローカルライフデザインラボ」の理念
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)では、隊員・担当職員向け研修を実施しています。
研修に際し、NCNが大切にしているのが「ローカルデザインラボ」という理念。「地域の本質的な問題と向き合い、可能性を見出し、磨き上げ、届ける仕組みを考えるとともに、自身が健やかに暮らすために必要なことを学び合う」というコンセプトです。2025年6月に実施した「令和7年度第1回担当職員向け研修」も、この理念に沿ってカリキュラムを組みました。
※ローカルライフデザインラボの定義
ローカルライフ = 地域での暮らし(協力隊活動、仕事、プライベートなど)
デザイン = 目的達成に向けた計画・設計
ラボ = 調べて、実践して、試行錯誤する場

2.本研修の概要
テーマ:協力隊制度を理解する
担当職員向け研修は、協力隊制度の運用や採用支援に関するアドバイス、隊員の任期後に向けた起業・就職支援など、自治体が制度を十分、活用するための場を目指しています。
今回の研修テーマは「協力隊制度を理解する」。自治体職員同士の交流を促し連携・相談しやすい状況を作るとともに、協力隊制度の基礎知識や隊員とのより良いコミュニケーションについて理解することを目標としました。
参加者アンケートでは、研修の満足度を5段階で回答する項目で、満足したと回答した方が100%(※対象:「とても満足」「満足」)。
「役場内、地域との情報共有がとても重要だと感じました」「地域おこし協力隊制度の本質について改めて学ぶことができました。」などの感想が寄せられました。
日 時:2025年6月25日(月)13:30〜17:00
場 所:長崎県庁 大会議室
参加者:長崎県内の地域おこし協力隊担当職員 21名
主 催:長崎県
企画・制作・運営:一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク
3. 実施レポート


①講演「長崎県の地域おこし協力隊の現状」

【講師】
宮田友香[NCN代表理事]
【内容】
長崎県内で活動する隊員の現状とよくある相談
現役隊員の視点で見る制度理解
NCNの新たな取り組み
【質疑応答】
Q1.NCNの取り組みに関して、有料・無料両方あるとのことだが、線引きはどうなっているのか?
A1.作業を伴うNCN自主事業は基本的に有料となるが、ケースバイケース。簡単な相談に対するアドバイスなどは相談窓口を通じ無料で応じている。気軽にお声がけを。
【参加者の感想】
NCNを活用した経験があるが、頼れば応えてくれる存在。活用したもの勝ちではないか
とりあえず人手が欲しい、と明確なビジョンを持たず募集・採用していたケースもあったという認識。反省している。
任期後の定住に向け、創業支援に力を入れる必要があると感じた
②講演「地域おこし協力隊の制度概要及び要綱について」

【講師】
森本愛里氏[総務省地域自立応援課]
【内容】
地域おこし協力隊推進要綱は2024年度、2回(10月、3月)改正された。例年1回。「イレギュラー」となった10月分は、制度創設15年の節目を機に、制度本来の趣旨から外れる事例が見られるようになったことを背景とする見直しが中心
総務省 地域おこし協力隊推進要綱(令和7年3月21日改正)
10月改正のポイントは、地域住民との連携・協力が前提であることを明確化。3月改正では、報償費や募集などに要する経費の上限額引き上げなどを明記
隊員募集・受け入れ・サポートのノウハウをまとめたハンドブックを作成。活用を
総務省 地域おこし協力隊取組ハンドブック
【質疑応答】
Q1. いろいろな自治体を転々と渡り歩く隊員もいると聞く。チェック機能はあるのか
A1. 現状、チェック機能はない。禁じられている行為ではないものの、定住を目指す制度でもあり積極的に推しているわけではない
【参加者の声】
2024年度の要綱改正に伴い、もろもろやりやすくなった印象がある
株式会社への隊員配置を検討しているが、どのような視点が必要となるのかが分かり勉強になった
要綱を読むだけでは正確な判断をしにくい部分もある印象で、確認しながら取り組みを進めたい
③トークセッション「東彼杵町に学ぶ隊員が定着し活躍する地域づくり」

【発表者】
吉村佑太氏[地域おこし協力隊サポートデスク専門相談員]
山下普弘氏[東彼杵町職員]
斎藤節子氏[東彼杵町協力隊OG]
宮田友香[NCN代表理事]
【内容】
協力隊制度の意義として、地域の取り組みを発展させることが大切だと考えている(吉村氏)
東彼杵は引っ込み思案なところもある町民性との認識だが、隊員の活動を見て「自分たちもできることがあるのでは」という気持ちを持つ町民も増えている(山下氏)
地域に残ったOGの立場として、現役隊員と地元の人をつなげる役割を果たしたいと考えている(斎藤氏)
東彼杵はコンスタントに隊員を採用している関係で、元隊員が自然と隊員の相談役となる環境が生まれている印象がある(宮田氏)
【質疑応答】
Q1. 東彼杵では隊員が多様なミッションに取り組んでいるが、各担当課から隊員を採用したいという声が活発に上がっているのか
A1.ある程度目星をつけて、関係する担当課に採用を持ち掛けている。各課に対して一律に募集を呼び掛けてはいない
Q2. 地域の声・ニーズを拾ってから隊員を募集しているのか
A2. 直接的には聞いていないが、担当部署の職員からヒアリングをしたり、まちづくり団体の会合の場でヒントを拾ったりはしている


④グループワークによる振り返り&全体発表
【全体発表】
コミュニケーションの重要性を再認識した。職員、OBOGも参加する隊員交流会の実施を検討したい
OBOGの活用方法、協力隊制度、隊員へのミッションなどに対して理解が深まった
協力隊制度をきちんと理解できていないことを実感。また、地域のニーズもきちんと拾っていく必要性があると感じた
行政と地域、双方の課題やビジョンを統一したうえで、協力隊制度を活用するべきと考えた




4.総評
わきあいあいとした雰囲気のなか、現場の生の声を聞くことができて勉強になった(森本氏)
県として何ができるのか、市町の思いを汲み取りながら事業に取り組んでいきたい(県地域づくり推進課・國分大樹氏)等


5.研修を終えて
協力隊制度は、言い換えれば“人と人の制度”。
「制度を理解する」ことの背景には、制度だけでは解決できない“人と人のコミュニケーション”の重要性がある。
だからこそ、制度の理解と同じくらい、関係者一人ひとりの思いや対話の積み重ねが大切なのだと、今回ご参加の皆さまの発表や意見交換を通じて改めて再認識しました。
何より大切なのは、現場で日々向き合っておられる自治体職員の皆さまの存在です。職員の方々が時間と心をかけてくださるからこそ、協力隊も応えようと力を発揮でき、地域に根づいていけるのだと思います。
私たち中間支援組織としても、できる限り柔軟に、伴走型の支援を続けてまいります。ミスマッチを防ぐ募集企画や、応募を集める原稿制作・広報に関しても専門スタッフが対応可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
改めまして、本研修において、総務省より森本様・豊増様、そしてサポートデスク専門相談員の吉村様にご多用のなか長崎県までお越しいただき、貴重なお話を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
皆さまがそれぞれの地域に戻られたあとも、協力隊との日々が、今日よりも少しでもすこやかに、そしてゆかいに続いていきますよう願っております。
一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワーク
代表理事 宮田 友香

令和7年度第1回長崎県地域おこし協力隊担当職員向け研修 スタッフリスト
◎事業責任者/企画・進行:小宮 大輔[NCN副代表理事]
◎企画サポート:宮田 友香[NCN代表理事]、久米川 泰伸[NCN常務理事]
◎当日運営:小宮 大輔、宮田 友香、久米川 泰伸、斎藤 節子[NCN理事]
◎レポート記事:竹内 章[NCN理事]
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