
五島は「文化」が面白い!神楽を守る人たちが教えてくれた、島に残る本当の豊かさ
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
自然だけじゃない、五島の魅力は「文化」にある
「長崎県」と聞き、青い海に浮かぶ島々をイメージする方も多いのではないでしょうか。
五島列島は、長崎を代表する島々のひとつ。大小140以上の島から成り立ち、海とともにある暮らしが今も息づいています。

五島列島の自然は、暮らしのすぐそばにあります私は、この五島列島の西南に位置する五島市で、2025年2月から地域おこし協力隊をしている下山宝楽(たから)と申します。
ここは、美しい自然に囲まれ、伸び伸びと暮らせる、思わず「ずっと住み続けたい」と感じる場所です。
今回、皆さんにお伝えしたいのは、そんな五島市のもう一つの魅力について。自然だけじゃない、五島市は「文化」も最高だと、ぜひ知っていただきたいのです。
まるで文化のるつぼ! 個性豊かな祭りが息づく島
移住1年目の秋、驚いたことがあります。
それは、祭りがとにかく多いこと!
私はその年、10回以上お祭りに行きましたが、それでも半分にも満たないようでした。

祭りを見守る、いつもの風景実は五島市は、毎週末のようにお神輿が上がったり、古い伝統が残る祭りがあったりと、文化がぎゅっと詰まった島でもあるのです。
華やかな祭りが終わったら、直会(飲み会)が始まります。ワイワイ楽しく飲んでいると自然とどんな人とも打ち解けて、島を歩くと声を掛けてくれるようになります。
地域ごとに神社があり、祭りがあり、文化がある。
そして、これらを今も大切に継承している人たちが、島には大勢います。
人も文化も、柔軟に受け入れてくれる。そんな五島市の人たちの優しさに触れられる瞬間が、私はたまらなく好きです。
長崎県内では珍しい? 神楽のある地、五島列島
ところで、長崎県にも神楽があることは皆さんご存知でしたか?
神楽は全国各地に伝わる伝統芸能ですが、長崎県では平戸市や五島列島など、西海の島々を中心に受け継がれ、主に秋の例祭などで舞われています。
特に五島市ではお神輿と一緒に神楽の笛や太鼓が町を回り、一軒一軒に舞を奉納します。そのため、太鼓や笛の音が聞こえてくるとワクワクする、という人も多いんだとか。
神楽を舞っている団体は五島市内にいくつかあるのですが、今回はその中でも精力的に活動されている地域の1つ、玉之浦(たまのうら)地区の「白鳥神社神楽保存会」の皆さんからお話を聞きました。
日本の西端、玉之浦地区に残る神楽
玉之浦地区は五島市最大の島「福江島」にあり、最西端に位置する漁師町です。
映画『悪人』のロケ地にもなった大瀬崎灯台にも近く、毎年大勢の観光客がやって来る、景観の美しい場所です。

町のどこからでも海が見えますしかし、昭和30年代には約5,000人いた住民も、令和7年現在では1,000人ほどに減少しています。
そんな玉之浦地区に鎮座するのが白鳥神社。古くから地域に信仰されてきた、由緒正しい社です。
秋祭りの日には、神輿を神社から出発させ、町中を練り歩きます。その際に神楽を担う団体が「白鳥神社神楽保存会」です。
この保存会が、「プロジェクト未来遺産」に登録されました。
プロジェクト未来遺産とは、自然や伝統文化を未来へつなぐ取り組みを応援する、日本ユネスコ協会連盟の登録制度です。
なぜ、白鳥神社神楽保存会は登録となったのでしょうか?
この疑問を探るべく、私は保存会の会長をしているという方に会いに行きました。
楽しみにしている人がいるから……保存会の覚悟が繋いだ「祭りと神楽」
皆さんは神楽保存会の会長と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
会長の越首(こしくび)伸之介さんを一目見て、私は驚きました。なぜなら、想像と全然違っていたからです。金髪にツナギ姿の越首さんは、私を優しい笑顔で迎え入れてくれました。

神楽も、金髪のまま舞います越首さんが保存会の会長となったのは、7年前のことだそうです。
元々は神道の家だけで行っていた神楽ですが、人が足りないということで保存会を作ったのが平成元年。
玉之浦に住む男性の多くが入会し、懸命に舞を習い、以来秋祭りでの奉納を行ってきました。
しかし、令和元年、高齢化に伴う人手不足のため玉之浦での秋祭りを中止せざるを得ない事態となりました。
渋々、中止を受け入れた越首さんですが、気付けば涙を流していました。
その時、越首さんは自分がこんなにも祭りを楽しみにしていたことに気が付いたそうです。
また、祭りの中止を聞いた人たちの口から「これだけが楽しみで生きているのにね……」という言葉を聞き、「この祭りと神楽は絶対に絶やしてはいけない」と決意しました。
止まった祭り、それでも続けるという決断
しかしその思いとは裏腹に、現実にはすぐに再開できる状況ではありませんでした。
世界中を震撼させたコロナ禍は、玉之浦の祭りにも影響を与えました。動くに動けない状況が数年続く中で、徐々にこれまで神楽を率いてくれた先輩たちも保存会を引退していきました。
そのような状況の中で保存会会長に指名された越首さんは、祭りができない今、どうすれば神楽を継承していけるのか考え続けました。
そして、少しでも神楽に触れてもらえる機会を作りたいと、古い商店をクラウドファンディングでリノベーション。神楽を練習したり定期的に披露したりできる場所に生まれ変わらせました。
これらの活動が評価され、令和5年に白鳥神社神楽保存会は「プロジェクト未来遺産」に登録されました。
越首さんは言います。
「先輩方や保存会の仲間だけじゃなくて、地域の人たち皆が必死になってやったから、ここまで繋がってきたんです」

そして迎えた、久しぶりの例祭 令和7年、久しぶりに玉之浦で秋祭りが行われました。7年の空白というのは大きく、子どもたちにとってははじめての祭りとなります。
しかし、神楽はしっかりと、次の世代に継承されていました。若者たちが次々とダイナミックな神楽を舞う姿に、観客から大きな拍手が上がりました。
白鳥神社神楽保存会に吹く、新たな風
移住者を神楽保存会に入れている。それも、若い地域おこし協力隊の青年と、そのパートナーの女性が同時に参加していると聞き、早速彼らに会いに行きました。

保存会に加入したお二人 (左)瑠花さん(右)地域おこし協力隊の海渡さんその二人とは、2024年春に着任した隊員の川口海渡さんと、妻の瑠花さん。大阪から移住してきたという二人は、現在玉之浦に住み、地域を盛り上げるための活動をしています。
実は、玉之浦に住むことを決めたのは、越首さん、そして白鳥神社神楽保存会との出会いがきっかけなんだそうです。
「プロジェクト未来遺産の伝達式があるから手伝ってくれ、と誘われたんですよ。瑠花ちゃんが司会で、僕は裏方で」
移住直後に行われた伝達式で、初めて玉之浦に行った二人。
式は無事に成功し、そのまま打ち上げの飲み会に参加することになったのだといいます。
「飲みの途中から、越首さんが泣いていて。ここに至るまでの苦労とか、これからも神楽を伝えていきたい気持ちを熱く語ってくれました。その姿を見て、この人たちと一緒に頑張っていきたい、と」
以前から神楽などの伝統芸能に興味があったこともあり、二人は保存会へ参加したいと申し出ました。
同様に、越首さんも式での二人の働きを見て「この子たちなら、きっと神楽を大切にしてくれる」と感じ、是非入ってほしいと快諾したとのこと。
神楽には楽譜がなく、先輩の背中を見て覚えるものだそうで、最初は苦労したといいます。
稽古の時間だけでは習得できず、家でも練習して、はじめての例祭を迎えました。

9時間、ほぼ休みなしで吹き続けました感想を聞くと、「きつかったですね」と笑う二人。
「僕たちは笛を担当したんですが、想像の倍くらい吹く時間が長かったです。久しぶりの祭りで、みんなテンション上がっていたんでしょうね。本来のルートよりずっと長く回り続けていました。終わらないんじゃないか、ってくらい」
文化に触れることで見えてきた、暮らしの豊かさ
お二人は現在、玉之浦町のハンバーガーショップ「鶴田商店」を継承しています。
この町で暮らし、文化や伝統に関わる中で本当の豊かさに気付いていったという二人。そんな彼らに、玉之浦に住む魅力を聞いてみました。
「自然が最高だし、獲れたての魚なんかもいただくし、気軽に飲みにも誘ってもらえて住みやすいですね」
「モノをもらうっていうより、気持ちをもらっているという感じが近いんです。今って、なんでもお金で買えますけど、本当は品物を通じて気持ちを交換するものだったと思うんですよね。玉之浦にはそれが残っていると感じます」

すっかり玉之浦で愛されています最後に、今後の展望を聞いてみました。
「この町の人たちから沢山のものを貰っていて。恩返しできるんだろうか、自分たちは何かできるのかと考える日々です」
「玉之浦に住む人が増えてほしいです。そのための活動を今後も続けていこうと思っていて。神楽も、観光で来た人にも見てもらいたいですし、そこからやりたいって人も増えたらいいなって」
五島は、文化が面白い!
五島は、文化が面白い。
それは、祭りや神楽を通じて、暮らしや想い、優しさに触れられるからです。
文化を続けるのは簡単なことではありません。時間もお金もかかるし、労力だって並大抵のものではない。
それでも、この町が、人が好きだからと続けるような優しさが、五島には確かに存在します。
そしてその優しさは、外からやってきた人たちさえも大らかに包んでくれます。
もちろん、敬意を持って関わることは欠かせませんが、きちんとした態度で臨めばきっと受け入れてくれます。
ぜひ、五島へお越しの際は、その土地の人や文化にも興味を持ってみてください。きっと、本当の豊かさに触れられるはずです。
自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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