
対馬の海の幸に危機!?海藻が消える現象 "磯焼け"に立ち向かう人々の挑戦
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
対馬の海・水産業の特色
九州の最北、韓国に一番近い島、対馬。四方を囲む海はどこも豊かな漁場で、古くから水産業が栄えてきました。
対馬ではブリ、ヒラマサ、クロマグロ、イカ類など大海原を泳ぎ回る種類に加え、アワビやサザエ、ヒジキといった“磯もの”が主要な水産物で、全国でも有数の水揚げを誇っていました。




それを支えていたのは、辺り一面、見渡す限りに広がる海藻の森 ―藻場― 。四季折々、さまざまな海藻が対馬の海を彩っていたそうです。

特に春先は、海面まで伸びた海藻(5ⅿ以上!)が漁船のスクリューに絡まり、なかなか前に進めないほどだったと漁師さんたちは口を揃えます。
たくさんの海藻はアワビやサザエのエサとなり、小魚の隠れ家となり、沿岸の生態系を育む ”海のゆりかご” として大切な役割を担ってきました。
海藻が消滅!?~磯焼けの拡大~
ところが、2000年ごろを境に、対馬の藻場に大きな変化が起こっています。
それは、磯焼け。
磯に生えていたたくさんの海藻が消滅し、海の中がまるで砂漠のようになる現象です。

対馬のほぼ全体を囲うように広がっていた藻場は姿を消し、今では島の北東部にわずかに残るのみ。
そしてこの磯焼けは、年々広がっていく一方です。
素潜りでアワビなどを狙う漁師さんは、かつては生い茂る海藻をかき分けて獲物を探さないといけなかったそうですが、現在の海底の様子は…。


こうした磯焼けが起こる原因として、
夏場の海水温が上昇し、海藻が耐えられる温度を超えること
海藻を食べる生物、特に魚類の「アイゴ(対馬ではバリと呼びます)」や「イスズミ」に食べ尽されてしまうこと
栄養不足をはじめとした海洋環境の変化
などが挙げられています。
磯焼けの解決に向けて
漁業を営む上で、藻場の存在は必要不可欠。対馬の漁業者の皆さんは、10年以上前から海藻の復活に向けて精力的に活動されています。
海藻の回復状況を確認するための潜水調査
海藻を食べる生物の数を間引く作業
海中に防護網やカゴを設置して、魚に食べられないように海藻の苗を育てる作業
等々を、それぞれの集落ごとに取り組まれています。(写真9、10)


しかし、磯焼けを解消する特効薬のような対策法はまだ確立されていません。
特に、海藻を食べる生物は、以前から対馬の海に生息しており、今も昔も海藻を利用してきた生き物たちです。ところが、現在の海の中には、海藻を食べる生物のお腹を満たすだけの余裕がない状況にあります。
一度崩れてしまった海中のバランスを取り戻すのは、簡単なことではないようです。
磯焼けの解決のために、地域が一丸となってNPOを発足
そうした中、去年の冬から、新たな取り組みが始まっています。
賀谷という集落では、藻場の再生活動をメインに行うNPO団体「賀谷藻場保全会」が発足し、漁業者さんだけでなく、地域の方々も一緒になった組織として、日々の活動をされています。

海藻や海洋環境の調査
海産物を販売し、その収益で海藻の苗を海中に増やす活動
山への植林(魚付き林:魚介類の生育に良い影響をもたらす森林をつくる)活動
など
これらを通して、海と山のつながり、そして海と人とのつながりの大切さを発信されています。
ホームページはこちら:『NPO法人賀谷藻場保全会』
地域おこし協力隊として対馬へ
私は、令和3年4月に対馬に移住し、対馬市島おこし協働隊・海の森再生支援担当として、藻場の調査を始めました。
全島的に磯焼けが広がる中でも海藻が残っている海域を対象に、
浅場では、胴付き長靴(胸の辺りまである長靴)を履き、海藻と生き物の写真撮影や網での採取
背の高さより深いところでは、スキューバ潜水(ウェットスーツとボンベ)で写真撮影
を行い、そこにどんな海藻が生えているか、どんな生き物が集まっているかを記録しています。




また、調査で撮影した海藻や磯焼けの様子の写真を使ってパネルを作成し、対馬の海で今起こっている問題をより多くの方に知っていただくために、市役所の玄関の一角で展示しています。
さらにパネルの横には、捕まえた魚類の赤ちゃんや海藻を飼育展示する水槽も置いています。

この水槽が、市役所を訪れる方々にとって、「対馬にこんな生き物がいたんだ!」という驚きや発見の場になることを願って、『大きな対馬(しま)の小さな水族館』、通称『しますい』というタイトルを付けました。
実際に水槽をご覧になった方からは、「対馬では海が身近すぎるからこそ、つい見過ごしがちになっていた。水族館のない対馬でこうした水槽を見られるのが嬉しい」といった感想をたくさん頂いています!
タイミングによっては、タツノオトシゴの仲間や、1cmほどの小さなイカなども展示しています。



そして、『しますい』の生き物たちを連れて地域の小学校へお邪魔する“移動水族館”も実施しました。

対馬の海や魚を紹介する出前授業のあと、生き物を間近で観察できる水槽展示と、実際に触れることのできるタッチプールも開催し、対馬の海の生き物の魅力を肌で感じてもらいました。


海藻を食べる魚を対馬名物に!"つしま揚げ"商品化への挑戦
昨年から、海藻を食べる魚「アイゴ(バリ)」をもっと価値のある魚にしようという取り組みが対馬市主体で進められています。アイゴには独特の臭みがあるため、大量に獲れるのに値段の付かない魚でした。

アイゴの価値を高め、積極的な利用を促進することで、食べられてしまう海藻の量を少しでも減らそうという狙いのもと、漁業者さん・水産加工業者さん・運送業者さんと市が連携して、美味しく食べる方法の開発、流通体制の確立を目指しています。
この流れに乗って、も協力隊の活動としてアイゴを美味しく食べるためのレシピ開発に取り組んでいます。
これまでに、水産加工の専門家の先生にご指導を頂き、アイゴ独特の臭みを取りながら美味しいかまぼこを作る技術を学んできました。
かまぼこは対馬の人にとって、とてもなじみ深い食べ物らしく、昔から各家庭でアジなどの地魚を使って作られてきたそうです。
私が学んだ『水産加工の技術』に『対馬の食文化』をコラボさせた揚げかまぼこ、 “つしま揚げ” の完成を目指しています。
現在は、島内の学校給食での提供を目標に、栄養士の先生からご意見を頂きながら、試作を重ねているところです。


海藻と活気に満ちた対馬へ
協力隊着任から1年8カ月。海藻の復活にかける熱い想いを持った対馬の方々と一緒に、色々な取り組みを進めています。
『藻場の再生』を軸に、これまで以上に活気あふれる対馬を目指して全力で挑戦していきます。
その様子をInstagram、Facebookで発信中です!
Instagram: しますい 大きな対馬の小さな水族館
Facebook: 釜坂 綾
自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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