
ベルガモット栽培にかける想い ~農業と観光のまち雲仙市で渕上兄弟が描く未来~
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
雲仙市瑞穂町で耕作放棄地を開拓した渕上兄弟。
その耕作放棄地に2024年3月、日本最大級!? のベルガモット農園が誕生しました。
仮植え中の畑で「この香りに魅了された」と話してくれたのは、主に栽培を担当する弟・敏秀さん。
育てたベルガモットを使った商品開発を計画中で、その第一弾としてベルガモットを使用したクラフトビールが2023年秋に完成。
「全国の人にこの香りを届け、(産地である)雲仙に来てもらいたい」と、長崎市内でバーを経営する兄・桂樹さん。
2人が描く未来を取材しました。
弟・敏秀さんとの出会い
筆者である雲仙市地域おこし協力隊・樋上が弟・敏秀さんと出会ったのは、2023年7月。
販路拡大や商品開発のため雲仙市内外でつながりを増やしていきたいと、私の活動拠点・雲仙BASEを訪ねてきてくださいました。年齢の近い方(敏秀さんが1年先輩!)が、地元・雲仙市にUターンして、新しいことをはじめようとしている!
とにかくまずは現地にお邪魔して香りをかいでみたい!と、数日後、渕上さんの畑を訪ねました。

仮植え中のベルガモットの苗を植えた畑に案内してくれた敏秀さんは早速、果皮を少しこすり、嗅がせてくれました。すると、とても豊かな香りが広がりました。
「この実の香りを嗅いで衝撃を受けた」と敏秀さん。
香りがよく夏のドリンクに最高だそうです。
ベルガモットは、紅茶のアールグレイの香りのもとになっているほか、アロマオイル(精油)などにも使われています。

ベルガモット栽培をはじめたきっかけ
もともと、ご兄弟の実家は兼業農家で、現在もお父様がパプリカやメロンなどを栽培しているそうです。
兄の桂樹さんは以前、スーパーの青果売り場に勤務。「関東で勤務していたので、全国のいろいろな農産物を知ることができた」と話します。
その後、雲仙市にUターンし、自ら作った野菜を軽トラで長崎市内まで販売に行くように。その際に自ら加工したホットワインや生絞りジュースなどを提供したのが好評となりお店の場所を聞かれることが増えたことから、2018年、実際の店舗を長崎市内にオープン。これまでバーの勤務経験はなかったため、自ら果実酒を仕込んで、いろいろな種類を提供していました。
やっと店の認知が広がってきた2020年、コロナの波がやってきたことで、街の明かりは消えてしまいます。
弟・敏秀さんも、2020年、農業関係の仕事を経て雲仙市にUターン。「新しい仕事を作りたい」という兄・桂樹さんとともに考えるなか、敏秀さんは以前、苗木屋で購入し庭に植えていたベルガモットのことを思い出しました。
「自分がほれ込んだこの香りで何かできないか」と提案。兄弟での取り組みが始まりました。
栽培と製品化への道
将来、多くの人が訪れる農園にすることを目指して、2021年、雲仙市瑞穂町で3.5haの耕作放棄地を雲仙市から借りることに。おいしいものを作り、笑顔になってもらうことを思い描きながら、2人で草を刈り、木を伐り、地道に開拓していったそうです。
ベルガモットの国内需要はほぼイタリアからの輸入で国内での栽培例があまり多くない作物。栽培方法や病気などの相談を長崎県の島原振興局や果樹研究所に相談しながら、自宅近くでベルガモットの苗木400本を仮植えしました。
「作っているところは少なく、難しいといわれていたがよく育つ」と敏秀さん。
この香りを生かすにはどんな製品にするのがいいか。2022年秋に、雲仙市小浜町のカフェの前で開催したイベントで採れたてのベルガモットを使ったドリンクを提供。また、兄・桂樹さんが長崎市内で経営する「農家Bar NaYa」でも、秋にベルガモットを使ったドリンクを提供しました。
こうした経験をもとに、この香りを生かしたクラフトビールづくりに挑戦。仮植えしたベルガモットの苗木400本が本格的に実をつけた2023年10月、長崎市内のクラフトビール醸造所に実を持ち込み、醸造・完成させました。
雲仙温泉街でクラフトビール試飲会を開催
クラフトビール完成の話を聞いた地域おこし協力隊・樋上は、ご兄弟が思いをもって雲仙市で育てたベルガモットで作られたクラフトビールをいろんな人に知ってもらいたいと、居住する雲仙温泉街で普段から交流がある方に相談。そこで飲食店や旅館・ホテル、土産店などの経営者、料理人などを含め7人が集まり、雲仙温泉街で試飲会を開催することになりました。
「商品名に雲仙がついているのがいいね!」「後に残る香りがいい」「飲みやすい」「幸せな気分になる」参加者からクラフトビールの感想が次々に集まります。
実を絞り料理にかけてみると「この香りならいろいろな料理と合いそう」「白身魚にも合いそう」など料理との相性も高評価でした。さっそく旅館の料理にも採用されることになりました。

兄・桂樹さんは「ただ農産物を作るよりも周りを巻き込むビジネスにしたい」と雲仙温泉街との連携に期待します。
世界各地を旅した経験から「旅で記憶に残るのは香り。クラフトビールを作り、また次の商品を作り全国の人に香りを楽しんでもらい、これを現地で嗅ぎたいなと思ってもらいたい。雲仙温泉でクラフトビールを飲み、ビールを入り口として来てもらえる農園を作りたい」と話します。
多くの人が訪れる農園に
コロナ禍で街の明かりが消えた4年前、新しい仕事を作りたいと耕作放棄地を開拓した渕上兄弟。
ベルガモットを使った商品化の第一弾としてクラフトビールができましたが、まだ取り組みは始まったばかり。
「次の世代にも受け継ぐような長いプロジェクトになると思う。まだ手探りではあるが、たくさんの人に雲仙に来てもらえるように取り組んでいきたい」と意気込む兄・桂樹さん。
「ベルガモットの香りに魅了されて、(栽培を)始めようと提案してやってきた。皆さんにこの自分が衝撃を受けた香りを届けられるよう頑張りたい」と照れながら語ってくれた弟・敏秀さん。

2024年3月には、開拓した耕作放棄地に自身で育てたベルガモットの苗木400本を植樹し、昨年植えた70本と合わせて計470本の日本最大級のベルガモット農園が誕生しました。
7日の植樹イベントには18人が参加。穴を掘ったところに苗木を植え、水をやりながら土を被せ、長靴で踏み固めていきます。「2人で開拓してきた農園にたくさんの人が来て笑顔で話している光景に感激している」と桂樹さん。


協力隊の樋上も1本記念植樹をさせていただきました。
敏秀さんはヘーゼルナッツや新種のライムの栽培にも挑戦していて、こちらも楽しみです。
雲仙市には他にも魅力的な作物がたくさんあります。ぜひ現地・雲仙市に会いにきてください!
自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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