2025年03月31日

自衛隊から狩猟の道へ!人と自然の持続的な共生を目指して【対馬市島おこし協働隊・荒井 勇人】

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2026年10月更新

現在募集中の地域おこし協力隊情報

長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。

日本の離島の中で2番目に大きい島・対馬市。島の約88%が山林で、対馬を初めて訪れる方の多くが山道の多さに驚かれるほどです。上空から見ると、緑が青々と生い茂り、美しく豊かな自然を感じられます。

しかし、山林に足を踏み入れると、下草が全くなく、茶色い大地が剥き出しの状態。原因は、シカやイノシシなどの有害鳥獣によるものです。

国境離島・対馬の豊かかつ希少な自然環境を守り共生し続けるために。そのためにも、狩猟の文化や技術を次世代へ繋げるように。「自然共生チャレンジャー」として地域協力活動を行うのが、元自衛隊の荒井さんです。

神奈川県出身の彼が、どうして対馬に来て、なぜ対馬の有害鳥獣対策を担うことになったのか、その経緯についてインタビューを行いました。

〈プロフィール〉

荒井 勇人(あらい はやと)

2022年10月〜2025年3月 対馬市地域おこし協力隊(島おこし協働隊)

神奈川県逗子市出身。静岡で陸上自衛隊として5年間勤務。勤務中のケガをきっかけにレザークラフトに興味を持ち、京都のレザークラフト専門店で4年間勤務。その後、妻の生まれ故郷である対馬へ移住。

釜坂 香織(かまさか かおり)

2020年4月〜2023年3月 対馬市地域おこし協力隊(島おこし協働隊)

退任後も対馬市に定住。一棟貸し宿「ちろもの宿」経営。2025年度、NCNと共に荒井隊員の活動サポートを行った。

狩猟の新たな可能性を探る「自然共生チャレンジャー」

有害鳥獣捕獲を行う山林にて
有害鳥獣捕獲を行う山林にて

釜坂:自然共生チャレンジャーとは、どういった活動をされているのですか?

荒井:メインで取り組んでいるのは、シカ・イノシシの狩猟です。くくり罠(※1)で捕獲をしたり、ICT(※2)やハンティングドローン(※3)を活用した、対馬での新たな狩猟の可能性を探ったりしています。他にも囲い罠(※4)の実証実験や、ツシマウラボシシジミ(※5)の保護区の整備なんかもしています。

※1 ワイヤーで獣の足をくくり、捕獲する罠。獣が板を踏んだらバネの力で罠が作動する。
※2 GPSやネットワーク回線を活用した捕獲通知システム。罠に獲物がかかったことをメールで知らせてくれる機能などがあり、見回りの手間が省けたり、かかってすぐに確認できることが特徴。
※3 狩猟に利用するドローンで、猟犬の吠え声を流して害獣を追う目的で利用される。
※4 大きなフェンスのなかに獣を閉じ込めて捕獲する罠。群れを一度にまとめて捕獲することが可能。
※5 対馬でしか見られない小型の蝶。環境省レッドリスト絶滅危惧IA類(CR)。国内希少野生動植物種(2017.1指定)。

有害鳥獣(シカ・イノシシ)を捕獲するため、獣が通った痕跡のある場所にくくり罠を設置中
有害鳥獣(シカ・イノシシ)を捕獲するため、獣が通った痕跡のある場所にくくり罠を設置中
シカの多いエリアで囲い罠の入口設置中
シカの多いエリアで囲い罠の入口設置中
対馬でしか見られない絶滅危惧種・ツシマウラボシシジミ保護区の整備中
対馬でしか見られない絶滅危惧種・ツシマウラボシシジミ保護区の整備中

釜坂:捕獲だけでなく、対馬の自然を守る活動もされているんですね。ICTやハンティングドローンを用いた捕獲は、対馬でも可能なのですか?

荒井:実は、対馬の地形は起伏が激しくて電波が入らない場所が多いんですよ。電波が入らないとICTが使える場所が限られちゃうので、今の対馬で使うのは難しいんですよね…。ハンティングドローンは、一斉捕獲ですでに活用しています。まだ成果はあんまり上がっていないですが、対馬での新たな狩猟の可能性として十分期待できると思います。

釜坂:新たな狩猟の可能性が広がれば、対馬で更に有害鳥獣の捕獲実績も増えそうですね。これまでの活動の中で、特に苦労したことなどはありますか?

荒井:1番苦労したのは、シカ・イノシシを思うように捕獲できなかったことですね。狩猟を始めたばかりの頃は、罠をかけても全然捕獲できなかったんです。罠のかけ方などは、前任の地域おこし協力隊である瀬谷さんに教えてもらってたんですけど、いざ自分でやってみると、あれ?かからないな?って。自分の中で考えて試行錯誤を繰り返していました。

釜坂:大変でしたね。他にも、前職のレザークラフトショップでの経験を生かした活動もされているのですか?

荒井:はい。イベントの時などに、狩猟したシカ・イノシシの革を使ったレザークラフト体験を開催しています。ありがたいことにリピーターの方も増えてきて、今後は公民館講座で定期的に開催しようと計画しているところです!

自衛隊時代のケガをきっかけに妻の生まれ故郷対馬へ

釜坂:そもそも、狩猟やレザークラフトの世界に興味を持つようになったのはなぜですか?

荒井さん:高校生の頃、革製品を探していた時に、しっくりくるものがなかなか見つからなかったんです。それで、自分で作ってみるか!と思い立って、レザークラフトを始めました。でも、その頃はまだ夢などなかったので、ひとまず公務員の専門学校に行って、自衛隊で働くことにしたんです。

陸上自衛隊時代の写真
陸上自衛隊時代の写真

釜坂:自衛隊に入隊して、その後レザークラフトのお店に転職されたのは、何かきっかけがあったのですか?

荒井:自衛隊の訓練中に足首の靭帯が切れちゃったんです。入院生活を送ることになって、自分の人生を改めて考えました。自衛隊は自分の体が壊れてしまったら何も残らないなって気づいて。それで、これからは好きなことをやろう!と思って、レザークラフトの世界に飛び込みました。

釜坂:自衛隊でのケガが、一つの転機になったわけですね。

荒井:そうですね。自衛隊を辞めてから妻と結婚して、別の土地でまた新しい生活をしようと思って京都に移住しました。その後、大阪にある革材料屋を雑誌で見つけて、そこで働くようになったんです。

前職の職場・レザークラフトフェニックスでの様子

釜坂:そうなんですね!それから対馬に?

荒井:妻が対馬出身なんですけど、妻の姉夫婦が対馬に帰ることを考えていたようで、一緒に帰らないかと相談があったんです。私も何度か対馬に遊びに行くなかで、対馬っていいなと思っていたのもあって、対馬で仕事を探し始めました。そこで、地域おこし協力隊(島おこし協働隊)の募集を見つけたんです。

釜坂:なるほど、それで対馬に移住するわけですね!対馬に移住してみて、どういったところに魅力を感じますか?

荒井:自然も食も人もそうだし、たくさん魅力はありますね。なかでも、やっぱり美しい景色が1番ですかね。ドライブしていたら気持ちいいですもんね。

荒井さんおすすめの景色(漁火公園)
荒井さんおすすめの景色(漁火公園)

狩猟からひろがる、暮らしの魅力とこれからの夢

釜坂:狩猟の魅力はどういったところにあると思いますか?

荒井:自分で獲物をとって、とれた肉を自分で料理して食べることだと思います。自分でとった肉を料理して食べる時に1番やりがいを感じますね。

釜坂:今後、対馬の自然を守るためにどんなことが必要だと思いますか?

荒井:今は、捕獲しても自家消費していない人がほとんどなんです。なので、もっと島内のジビエの自家消費率を上げたいなと思っています。

釜坂:なるほど、確かに島民でもまだまだジビエに抵抗ある人は多いですからね。将来的な夢はありますか?

荒井:将来は、自分のレザークラフトショップを持ちたいですね。レザークラフト講座も継続して続けていきたいです。

荒井隊員によるイベントでのレザークラフト体験
荒井さんによるイベントでのレザークラフト体験

地域おこし協力隊はサポート役。火種を生むことが大切

釜坂:協力隊は、どういう人が向いていると思いますか?

荒井:協力隊は定住の基盤を作るのに最適な制度だと思います。豊かな発想力と行動力がとても必要だと思うので、自分にはどういうことが出来るのかを理解している人であれば、こんなにやりやすい仕事はないと思います。

釜坂:確かにそうですね。これから協力隊になろうと考えている人へアドバイスはありますか?

荒井:自分が主役になろうとしないことですかね。サポート役として、火種を生むことが大切だと思います。あと、焦らずに積極性と柔軟性を持つことですかね。積極性と柔軟性を両立させるのは難しいことだと思うんですけど、この両立がとても大事だと感じています。

地域の方に猟銃や罠について説明する荒井さん
地域の方に猟銃や罠について説明する荒井さん

「有害」から「有益」を生む。島にも自身にも可能性を拓く

有害鳥獣と呼ばれるシカやイノシシの命を、外からの視点やスキルも生かし、料理やレザークラフトなど有益なものに変えている荒井さん。

”狩猟”と聞くと荒々しいイメージを結びつけてしまいがちですが、積極的に行動しながらも地域の声を聞いて柔軟に取り組んできた彼の言動からは、「対馬の豊かな自然環境を守りたい」という包み込むような優しい包容力が感じられました。

国境離島・対馬の豊かかつ希少な自然環境と人との共生という大きな目標を、身近なところから着実に広げています。

自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト

地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。

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