2025年12月18日

「隊員・地域・職員」の三方良しを目指して。諫早市の協力隊“受け入れ体制づくり”の舞台裏 

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2026年10月更新

現在募集中の地域おこし協力隊情報

長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。

2025年10月14日に長崎県諫早市庁舎で開催された県地域おこし協力隊担当職員向け研修。県内各地から協力隊担当の自治体職員が集まりました。
事例研究として『協力隊制度運用における「受け入れ体制構築」今までとこれから』と題し、諫早市の協力隊所管課職員の大浦美香さん、長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(以下、NCN)の久米川泰伸さん、諫早市協力隊OGの伊藤優美さんが座談会を行いました。
2025年10月時点で10人の協力隊を採用してきた諫早市。これまでどのような受け入れ体制づくりを行ってきたのか、これからどのようなことを目指していくのか?座談会の様子をお届けします。

<登壇者3名のプロフィール>
大浦 美香(おおうら みか)さん
諫早市移住定住推進課(地域おこし協力隊の所管課)に所属。自身も諫早市への移住者。

大浦 美香(おおうら みか)さん

伊藤 優美(いとう ゆみ)さん ※愛称:ゆーみん
神奈川県出身。2022年9月~2025年8月諫早市地域おこし協力隊として活動。「小長井魅力創出コーディネーター」として、諫早市小長井地区の魅力発信に取り組んできた。

伊藤 優美(いとう ゆみ)さん 愛称:ゆーみん

久米川 泰伸(くめがわ やすのぶ)さん
京都府出身。2018年7月~2020年3月佐世保市地域おこし協力隊として活動。NCN常務理事。
久米川さんについて詳しくはこちら

久米川 泰伸(くめがわ やすのぶ)さん

人口約13万人の「とかいなか」。ポテンシャルを秘める諫早市

久米川:実は諫早市は長崎県内3番目の約13万人という人口を誇っています。(2025年10月推計)実際に住んでみて、市の環境をどう感じますか?

大浦:私自身も諫早へ移住してきたのですが、ポテンシャルの高さを感じています。昔から交通の要衝で、新幹線の駅もありますし、車を走らせると空港もある便利なまちです。

伊藤:私は神奈川県から移住してきたんですけど、まず長崎県に住みたくて探していました。その中で諫早市を知って、長崎県の中でいろんなところに行きやすいという点に魅力を感じました。あと、いきなり田舎に行くのはちょっと怖かったので、ほどよく都会と自然が両立しているところが良かったんです。空港も近いので、実家にも帰りやすいし、いい場所だなと感じました。

伊藤元隊員が活躍した小長井地域にあるフルーツバス停。中心地区から程よい距離に自然が広がる諫早市
伊藤元隊員が活躍した小長井地域にあるフルーツバス停。中心地区から程よい距離に自然が広がる諫早市

着任時オリエンテーションで「隊員・地域・職員」の認識を合わせる

久米川:実はNCNでは「サポート体制強化事業委託」として、諫早市に関わらせていただいています。実際にサポートを受けてみた感想を教えてもらってもいいでしょうか?

諫早市の隊員受け入れ体制づくりのこれまでの流れ
諫早市の隊員受け入れ体制づくりのこれまでの流れ

大浦:担当してからの期間が短いので隊員さんの本音を聞くことを課題に感じていましたが、定例会にNCNに入ってもらうことで、しっかりと隊員の声を把握することができました。他地域では、職員と隊員の情報共有や意見交換が難しい事例もあると思いますが、第三者の外部目線があるとありがたかったです。

久米川:OBOGとしての客観的な目線があるのも役立つのかなと思います。そして、諫早市では協力隊着任時にオリエンテーションを行っていますよね。しかも朝9時〜夕方5時までを5日間みっちり!どんな経緯でオリエンテーションを導入したんですか?

着任時オリエンテーションの時間割
着任時オリエンテーションの時間割

大浦:諫早市の協力隊はフリーミッション型の隊員として活動いただいています。時間が進めば進むほど、「隊員のやりたいこと」と「地域の方が感じている課題」「職員がこういうことをしてほしい」というのが離れていくケースもあるので、それが三方良しになるようにオリエンテーションを導入しています。会計年度任用職員として働いていただくので、「公務員としてのルール」の説明も合わせて行っています。

久米川:隊員自身が協力隊制度を十分に理解していないケースもあるので、着任時に改めて説明しておくのも重要ですね。ゆーみんは実際にオリエンテーションに参加してみてどうだった?

伊藤:最初に自分の計画を立てて、それが軸になって3年間進められたので、オリエンテーションがあったのはとてもありがたかったです。細かいところだと、公用車を使うときは「市の車」って見られるよ、といったアドバイスをもらいました。

隊員、そして地域のための活動ロードマップ

久米川:オリエンテーションでは、隊員ごとに3年後のビジョンに沿ったロードマップをつくっていますよね。自治体側が設定する「地域の目標」(下図のオレンジ色字部分)はどのように設定していきましたか?

3年間の活動ロードマップ
3年間の活動ロードマップ

大浦:2025年現在、諫早では各隊員は支所地域で活動していますが、その支所に勤務している職員ひとりひとりが感じている「地域の課題」と「協力隊へのイメージ」は違うんですよね。そこは何度も支所地域に出向いて、自治体側での擦り合わせを行いました。

久米川:なるほど。ロードマップづくりで、ゆーみんが気にしていたことはある?(上図の青字部分)

伊藤:私の場合は着任時にすでにやりたいことがあったので、個人目標はすぐ決まったんですけど、「地域のやりたいこと」を理解するのにはすごく時間がかかりました。「個人の目標だけ」に偏りすぎるとやっぱりだめなんですよね。

庁内からの協力隊に関する問い合わせも増加中

久米川:諫早市では庁内向けに協力隊制度を説明するための機会(庁内制度説明会プログラム)を設けていますよね。協力隊を活用する課を増やすために、どういったことをしたら職員さんが説明会に集まりやすかったとか経験はありますか?

大浦:庁内向けの案内はメールしただけでは伝わらない部分があるので、やっぱりそこは担当者のところに直接行って個別に説明しました。実際に話してみたら「その仕事って協力隊じゃなくて会計年度任用職員の仕事では?」ということなんかもありましたね。

久米川:職員さんには日々大量のメールが届く中で、本当に必要な情報かを判断するのは大変だと思います。

市民との触れ合う場となっている活動報告会
市民との触れ合う場となっている活動報告会

「協力隊担当の異動」ありき。課全体で隊員をサポートする仕組みづくり

久米川:これから先、諫早市の協力隊制度活用の展望を教えてください。

大浦:やっぱり隊員との信頼関係が大切です。とはいえ、職員には異動があるので任期満了まで同じ担当がサポートするのは難しいのが現実です。そこで、諫早市では「課全体」で協力隊をサポートするようにしています。担当を必ずつけて退勤時に話していますし、担当者が異動してもサポート体制が続くように仕組みを作っています。

久米川:行政の担当が変わるのは避けられないですが、手厚いサポートがあると隊員も安心しますよね。一方で、「地域側の」受け入れ体制づくりの面はどうでしょうか?

大浦:活動拠点である支所地域の職員に、隊員のサポート役をお願いしています。職員以外の支所地域のキーパーソンと隊員の関係性づくりに対して、離れた場所からサポートをすることには課題を感じています。受け入れの段階から地域住民の繋がりがあると、隊員が活動しやすくなると思いますので、これからの課題ですね。

協力隊の受け入れ体制づくりについて事例研究を行った座談会
協力隊の受け入れ体制づくりについて事例研究を行った座談会

久米川:行政の方には、協力隊とコミュニケーションをとる上で我々NCNを「ワンクッション」として使ってもらえたらと思っています。NCNのビジョンは「長崎県で すこやかにゆかいに」。隊員も自治体も地域も。すこやかに、ゆかいになってもらえればと思って活動中です。自治体の皆さんからもお気軽にサポートのお声がけをいただければと思っています。

協力隊という種を花開かせる、地道な「土づくり」

今回の座談会を通じて筆者が感じたのは、諫早市は協力隊の受け入れ体制づくりを目指して、オリエンテーションやロードマップづくり等の徹底した「仕組みづくり」を行っているということでした。やみくもに協力隊という種を地域に蒔くだけでは、花は咲きにくいのが現実です。豊かな土をつくるところまでは、協力隊を受け入れる地域側が準備する必要があります。

オリエンテーションの準備や活動ロードマップの作成は、確かに手間はかかりますが、種が根を張るための土づくりとして、「隊員・地域・職員」の三方良しを実現する大切な土台になっています。一方で、支所地域のキーパーソンとの連携など、まだまだ課題もあります。しかし、いきなり完璧を目指すのではなく、試行錯誤しながら少しずつ改善していく。その姿勢こそが諫早市の強みなのかもしれません。

NCNのように隊員経験がありながら制度や事例に精通した第三者と、チームになって、自治体・隊員・地域が対話を重ねていく。協力隊という種を花開かせるには、こうした地道な土づくりが欠かせないのだと、改めて実感した座談会でした。

自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト

地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。

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