2025年11月01日

「集落を知ってもらうきっかけに」地域の応援を背に古民家民泊を開業 

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2026年10月更新

現在募集中の地域おこし協力隊情報

長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。

日本棚田百選に選ばれた長崎県波佐見町の鬼木棚田
日本棚田百選に選ばれた長崎県波佐見町の鬼木棚田

“波佐見焼”の産地で知られる長崎県波佐見町(はさみちょう)は、小さな山に囲まれ、斜面地には棚田が広がっています。

今回話を聞いたのは、特に棚田が多い鬼木(おにぎ)地区にて、古民家民泊oniwa(おにわ)を開業した波佐見町地域おこし協力隊OBの河内拓馬(かわちたくま)さんです。

なぜ、家族で波佐見町に移住して地域おこし協力隊になり、退任後の生業に古民家宿を選んだのか、その経緯をお聞きしました。

<河内拓馬さんプロフィール>
東京都出身。妻、長男、長女の4人家族
2018年4月~2021年3月 波佐見町地域おこし協力隊として活動、空き家調査などを担当
2021年12月 退任後、波佐見町内で古民家民泊oniwaを開業

「収入を得ながら地域との関係づくりができる」と地域おこし協力隊に

隊員1年目は空き家調査や子どもの体験イベント開催に取り組んだ
隊員1年目は空き家調査や子どもの体験イベント開催に取り組んだ

地域おこし協力隊として波佐見町に移住する前は、東京でフリーランスの建築士として働いていた河内さん。徐々に仕事が増え、会社設立や人材雇用を考えました。しかし、元々田舎で子育てをしたいと思っていたことや、人を雇って事業を大きくするつもりもなかったことから、ここで人生をリセットし、田舎で再出発したいと考えたそうです。

「父が長崎県佐世保市出身で、祖母の家が波佐見町にあったため、その辺りで移住先を探した際に、波佐見町で地域おこし協力隊の募集がありました。移住したばかりは仕事がないですし、建築士の仕事をするにしろ、町には既に建築会社があって競合もするし、職人集めも大変です。地域おこし協力隊なら、収入が得られるし、地域との関係づくりに3年間使えるのはメリットが大きいなと、思い応募しました」

採用が決まった春に、妻の友紀乃さん、当時6歳の長男、4歳の長女と波佐見町に引っ越しました。

業務委託に切り替え、古民家改修に専念した2・3年目

移住したのいつだっけ?と遠い昔のように当時を思い出す
移住したのいつだっけ?と遠い昔のように当時を思い出す

空き家調査に取り組んでいた1年目。鬼木地区にある築70年の古民家を所有する家主から、この家の活用法に関して相談を受けました。

この古民家に可能性を感じた河内さん。何らかの形で活用できないかと考え、役場と話し合った結果、“将来的に公共性のある形で利活用する”という条件で、協力隊活動の一環としてまずはこの物件の改修に乗り出すことになりました。

予算の関係もあり、改修作業は2年目から着手。併せて、改修作業をよりスムーズに進めるために、雇用契約を“会計年度任用職員”から、より自由度が高い活動が可能になる“業務委託契約”に切り替えました。

改修後は、町が主体となって物件を活用する案も浮上していましたが、最終的には古民家にほれ込んだ河内さんが起業し、宿泊施設として利用することになりました。

高校時代の友人も波佐見を訪れ改修を手伝ってくれた
高校時代の友人も波佐見を訪れ改修を手伝ってくれた

集落住民の応援も感じながら古民家を改修

作業に苦戦することもありましたが、地域の方々からの反応が嬉しかったといいます。“宿やります”と伝えると、地域の人はものすごく喜んでくれたそうです。

鬼木地区は移住者が少ないエリアですが、元々住んでいた人がUターンで戻ってくることが多く、集落愛が強い地域だと河内さんは感じています。

特に昔は、集落内での助け合いが大切だったため、住民みんなで家をつくっていたそうです。「みんなでつくった家という感覚があったから、取り壊しせず残してくれるのが嬉しかったみたいです」と河内さん。改修中にも地域の人から“ここの壁は私が塗ったのよ”や、“製材は俺がしたんだ”などと話しかけられたそうです。

集落に住む方の応援もあり、さまざまな苦労を乗り越え、退任後から9か月後の2021年12月に“古民家民泊oniwa”が開業しました。

開業したばかりのoniwaの前で、家族4人で記念撮影
開業したばかりのoniwaの前で、家族4人で記念撮影

地元で採れる旬の食材で宿泊客をおもてなし

開業当初はまだコロナ禍であったため、軌道に乗るまでに1年ほどかかりましたが、徐々にリピーターや海外からのお客様が増えてきたそうです。

“天空のデッキ”と名付けたテラスからは棚田が見渡せる
“天空のデッキ”と名付けたテラスからは棚田が見渡せる

古民家民泊oniwaでは、“お客様が波佐見町の家にお邪魔する”というシチュエーションを楽しんでもらうため、河内一家と一緒に食事するスタイルです。食事は、妻の友紀乃さんが地域の旬の食材を活かして手づくりしています。

土間では、かまどでご飯を炊く体験もできます。提供するのは、鬼木地区で収穫された“天日干し米”です。収穫後に2週間天日干しするのが特徴で、香りと甘味が強くなります。隊員だったときに、米づくりの体験イベントをおこなって、このお米に出会ったそうです。

また、提供しているお茶は、鬼木地区にある原田製茶の“おにき緑”です。草の香りが強く、地域の特色を感じられます。なるべく鬼木地区で採れたものを提供し、集落を知るきっかけにしているそうです。

「お客様から“とても一泊とは思えない充実した体験だった”という言葉をいただいたときは嬉しかった」と、河内さんは笑顔を見せます。

地元産食材でつくる調味料の販売を目指す
地元産食材でつくる調味料の販売を目指す

今後は、“ヤンニョム酢”などの手づくり調味料の販売など、地元の素材をさらに広める取り組みも進めていくそうです。宿泊を通じてお客様に鬼木地区の魅力を伝えながら、地域とのつながりを大切にしています。

地域おこし協力隊へのメッセージ

――現役隊員に向けて、退任後を見据えたアドバイスはありますか?

自治体の予算制度等について、事前に学んでおくべきだったなと後悔しました。役場は民間よりも、決裁が必要な場面が多く、物事の決定に時間がかかります。3年間は思っていたより短いので、最初から全力で行った方が良いと思います。人生のうち貴重な3年間を使うから、価値のある3年間にしてください。

――古民家運営や宿泊業で起業したい人が、現役中にやっておくべきことはありますか?
思ったよりDIYはできる!とりあえずやってみると良い!私も建築の現場経験はありませんでしたが、思ってたより自分でできました。

――現役の地域おこし協力隊へメッセージをどうぞ!
せっかく長崎に来たんだから、長崎自体を楽しんで!また自分のことをまず頑張って欲しいと思います!

挑戦の先にあった波佐見町での豊かな生活

焼き物公園の前で妻の友紀乃さんと
焼き物公園の前で妻の友紀乃さんと

地域おこし協力隊としての3年間を通して、波佐見町での人脈づくりや地域理解を深めたうえで、古民家民泊oniwaを開業しました。任期中から改修作業に挑戦し、地域の素材や風景を取り入れた宿泊体験を提供している河内さんの活動は、現役隊員にとって活動のヒントとなるはずです。

“思ったより自分でできることは多い。まずは挑戦してみることが大事”と語る河内さんの言葉には、移住や起業を考える人への力強いメッセージが込められています。

家族も長崎県での生活に馴染み、休日になれば息子さんのサッカーの送迎で県内を飛び回っているそう。忙しい日々の中でも、河内さんは波佐見町での挑戦を楽しみながら、家族と地域での暮らしを大切にしています。

自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト

地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。

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