
ゆとりのある生き方へ。人生を走り続け導かれた先は、海の見えるつながる宿
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
「ジンさん!!」と地域の方から親しまれる齊藤仁(さいとう ひとし)さん。2016年12月に東彼杵町地域おこし協力隊としてこの町に移住してきた。
東彼杵町では5人目の地域おこし協力隊員となる。
大阪府出身のジンさんは大学卒業後、乃村工藝社に26年勤め、50歳で早期退職。そして現在、東彼杵町で「さいとう宿場」というゲストハウスを経営している。
空間デザインで数々の賞を受賞する乃村工藝社に勤めていた経歴があるジンさんがなぜ、東彼杵町と出会ったのか。ジンさんが巻き起こす“運命”のはじまり。
乃村工藝社時代から始まっていた“長崎”との運命
建築施工管理技士の資格を持つジンさんは、東京都の乃村工藝社でプロジェクトマネジメントや管理責任者を勤め、これまでに多くの日本建築の企画設計に携わってきた。その中でも代表的な施設が日本に5か所ある「アンパンマンミュージアム」だ。
グループの責任者としてほぼ休みなく働く日々が続き、妻・晶子さんと結婚後も週末婚状態。当時は夫婦の住まいとは別に、六本木ヒルズにアパートを借り、別々の生活を送っていた。

日本に4か所ある「アンパンマンミュージアム」
ジンさんが暮らした六本木エリアジンさんが50歳を迎えた時、社内で早期退職希望者の受付が始まった。
「体力的にきつくなってきたし、仕事飽きたし、やんなったから」と、ジンさんは直ぐに手を挙げ、退職することになった。
だが、責任者として多くの企画に携わってきたジンさんは直ぐに退職できず、退職が決まってからもNEWoMan SHINJUKU内の店舗や日本橋長崎館など4つの施設を掛け持ちしていて、ジンさんは、すべてを終わらしてから退職することにした。
いよいよ最後の仕事となった日本橋長崎館のオープニングでは、長崎県知事の記者会見の会場設営に関わった。その際に長崎館の館長や知事、長崎県の職員へ退職の挨拶を踏まえ、移住を考えていることも伝えた。すると長崎県の職員から「今、移住キャンペーンで、キャンピングカー絶賛貸し出し中です!」と嬉しい情報が入った。
こうして齊藤夫婦の移住計画は始まった。
海が見える暖かい南へ~導かれたような運命~
結婚してから、互いに仕事に追われ大好きな旅行にも行けなかった二人は、今まで行けなかった分、沖縄や宮古島などへ旅行へ行き、散々遊んで楽しんだ。数か月して、本格的に移住を計画し始めた二人は、移住の雑誌を読みあさり、東京の故郷回帰センターに通い詰めた。
二人の移住の絶対条件は「海が見えて、暖かい南」。そこで絞った地域が徳島県、高知県、宮崎県、佐賀県、長崎県、鹿児島県だった。故郷回帰センターの担当者が移住検討先のプランを組み、お試し住宅を利用しながら2県を2週間ずつ見て回った。

キャンピングカーでのワンショット
旅行先で出会った移住の先輩(小値賀町)長崎県を巡るときは、キャンピングカーを借りた。この時のキャンペーンが、長崎県内の市町の役所を周るスタンプラリー方式。移住相談などをしながらスタンプを集め、1泊2日1,000円でキャンピングカーが利用できるキャンペーンだった。対象地域として東彼杵町も含まれており、当時の東彼杵町役場職員と対話していた。
その後、宮崎県、鹿児島県を巡り、空き家を探し続けた。
その時、故郷回帰センター担当者からの電話が入った。
担当「齊藤さん、どこにいるの~?」
ジン「宮崎です」
担当「ダメダメ~」「仕事あるから、東彼杵町に来て~」「齊藤さん、乃村工藝社だよね?」「ぴったりの仕事みつけたからー」「大丈夫大丈夫!!履歴書だしてー」
「ダメダメ〜」から始まった東彼杵町との繋がり。運命は突然訪れました。
長崎県東彼杵町へ移住、地域課題の解決人として結ばれた運命
宮崎県を巡っていた時に突然舞い込んだ仕事の話。地域おこし協力隊というものすら知らなかったジンさんだったが、担当者に言われるがまま宮崎県のコンビニのFAXで履歴書を送った。それから2カ月経った10月、東彼杵町から連絡があり直ぐに面接をした。役場から「もう、来月から来てください」とお願いがあったが、引越し準備や手続きの兼ね合いもあり12月に東彼杵町へ移住した。

齊藤夫婦が移住した東彼杵町千綿エリア
移住当時の夫婦そして2016年12月東彼杵町地域おこし協力隊着任となった。
齊藤隊員のミッションは
空き家バンクの構築
お試し住宅の構築
空き家を活用した起業
これまでの経験が活かせる活動内容だった。
着任してすぐ待ち受けていた課題、それは「お試し住宅 大迫の宿」だった。役場職員により設計(ベース)は出来ていたが問題は、国の補助金の関係で翌年の3月31日までにお試し住宅を完成させなきゃいけないという無理難題だった。12月に着任し3月まで、現場監督と書類作成など、お試し住宅に関わる全てのことを見事にやってのけた。

築120年 お試し住宅改修前の空き家4月下旬お試し住宅「大迫の宿」プレス発表があり、当時のまちづくり課の職員と引越し準備が始まり、5月GW明けにオープンとなった。

完成した東彼杵町お試し住宅大迫の宿お試し住宅と同時に進めていたのが「空き家バンクの構築」だ。空き家調査や空き家の図面作成、地域住民への空き家バンク制度の説明に、家々へ出向いた。
恵比寿屋御旅館が「さいとう宿場」としてよみがえる日
東彼杵町に移住してすぐ、役場職員と一緒に町案内に行った際、初めに千綿駅をみに行った。
ジン「ここか!青春18切符!」「町に泊る所ないんですか?」
職員「ないんです」「昔、旅館だった空き家があるんですが…」
この時、齊藤隊員の心が動いた瞬間だった。「何かできることがあるんじゃないか」と。
地域おこし協力隊1年目、恵比寿屋御旅館だった空き家の持ち主に、貸してもらえないか交渉したが、渋る様子を見せていた。だが協力隊2年目になり、大家さんから「固定資産税の分だけで貸してやるよ」と合意を得ることができた。
2017年11月、協力隊3年目に入ろうとした頃、恵比寿屋御旅館の調査を開始した。時が止まったままの恵比寿屋御旅館の閉ざされた扉を開けてみると、仏壇、布団、食器など当時の物が使用されたままの状態で残っていた。冷蔵庫に残っていた醤油には“昭和60年”と書いてあった。床や壁、階段も崩れ落ち、終いにはシロアリに食われ、住める状態ではなかった。
本格的に改修作業に入ったのは協力隊3年目の5月。役場のトラックを借りて役場職員や地域の方と一緒に家財搬出作業を開始した。使用できる食器などは、地域の婦人会へ引き取っていただき、皆力を貸してくれた。搬出作業にかかった時間は3カ月。多いときは1tトラック2台分と軽トラ7台分にもなり、畳に関しては50枚も搬出した。
旅館業をするためには、提出書類が必要不可欠だが、最も必要とされる恵比寿屋御旅館の図面がなかった。そこで齊藤隊員は前職の友人にも手伝ってもらいながら、図面を作成した。
消防や保健所での打ち合わせ、防災設備、改修工事業者選定や他県のゲストハウス視察や開業セミナーへの参加など、ハード面とソフト面を固め、開業の準備を進めた。
改修工事が着工したのが2019年3月。そして2019年8月1日に「さいとう宿場」のオープンを迎えた。メディアの取材対応に大忙しだったが、空き家調査やイベントなど協力隊として、地域のために精一杯努めた。だが、地域おこし協力隊退任後の2019年12月、新型コロナウイルス感染症が流行し、2020年1月には日本にも影響をもたらした。さいとう宿場でも予約のキャンセルが続き、利用者がほとんどゼロの状態が続いた。
実はコロナ禍の影響は飲食店や宿泊施設だけでなく、農家も人員不足で悩んでいた。そこでジンさんのもとに電話がはいり、「ジンさん、お茶の手伝いしてよ!」と連絡してきたのは、町内の大山製茶園からだった。3月から忙しくなるお茶農家さんの手伝いを5月まで週6日通って汗を流した。そして現在もお茶シーズンには手伝いに行き、農家の一員としても活躍している。
東彼杵町地域おこし協力隊のミッション以外にもイベントやフェス、移住相談会や地域の行事へ進んで参加したことで人柄が感じられ、これまでに沢山の地域づくりに関わってきた。現在、お試し住宅大迫の宿は年間30組みもの利用者がおり、大人気のお試し住宅となっている。

お試し住宅利用者最後に、ジンさんが笑顔でいられる理由
「俺、会社辞めて違うことしたかったのに、結局同じことしてるなって思った。カミさんは笑ってたよ。でも、辛いとか苦労は感じなかったな。」と、笑顔で語った。
日本橋長崎館で始まった運命から3年、地域おこし協力隊最後の仕事は日本橋長崎館での東彼杵町フェスだった。
東彼杵町のゲストハウス「さいとう宿場」は、町の観光名所として賑わうJR千綿駅を降りてすぐの場所。海側の部屋からの景色や夫婦の人柄で人気の宿は、外国人や学生の利用客も多く、シーズン中は予約で埋まっている。希望者には地元の食材を使用した朝食の提供や、「さいとう酒場」として“のみかた(飲み会)”ができる場を設けている。


さいとう宿場の裏の顔「さいとう酒場」
千綿駅から見る夕陽都心での暮らしに比べ、ストレスがなくなり、ゆとりができたことで、夫婦の時間も増えた。互いの友人や会社員時代の同僚が年に数回東彼杵町を訪れ、さいとう宿場に宿泊し、仲間との時間も大切にしている。
そして現在は東彼杵町で夢に向かって挑戦する若者の、影の立役者としても活躍し、頼れる兄貴のような存在として親しまれている。


退任後も続く、お試し住宅の定期点検とmy道具箱
穏やかな大村湾にオレンジ色の夕陽を見ることができる絶景宿は、今も昔も変わらない心温まる風景。齊藤夫婦が理想とする海の見える暖かい場所は、ここだったのかもしれない。

さいとう宿場の部屋から見える景色自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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