2026年10月31日

地域おこし協力隊で身につけたスキルはその先でも生きる ルワンダ、そして長崎県庁へ

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2026年10月更新

現在募集中の地域おこし協力隊情報

長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。

中尾祐成(なかおゆうせい)さんが、地域おこし協力隊として長崎県島原市で活動したのは約9か月。その後、JICA海外協力隊(*)としてアフリカにあるルワンダ共和国へ渡り、帰国後は長崎県庁に入庁しました。2026年秋時点では東京に駐在し、長崎県内の企業と関東・関西圏の企業をつなぐ仕事に携わっています。

島原市、ルワンダ、長崎県と、活動する場所も、向き合う仕事も大きく変わってきました。それでも、中尾さんの話を聞いていると、島原市で過ごした約9か月が、その後の選択や仕事の進め方につながっていることが見えてきます。

地域おこし協力隊員としての経験は、海を越えたルワンダでの活動や、現在の長崎県での仕事にどのように活かされてきたのでしょうか。

* JICA海外協力隊…日本政府のODA予算により「国際協力機構」(JICA)が実施する国民参加型事業。開発途上国の要請に基づき、選考・訓練を経た人材が原則2年間派遣され、教育・保健・農業などの分野で現地の課題解決に協力する

<中尾祐成(なかおゆうせい)さんプロフィール>
長崎県佐世保市出身
2020年6月〜2021年3月 島原市地域おこし協力隊
2021年8月〜2023年7月 JICA海外協力隊としてルワンダに派遣
2024年4月 長崎県庁に入庁、国際課に配属
2026年4月 企業振興課に異動、長崎県東京事務所に勤務

JICA海外協力隊の派遣延期をきっかけに島原市の地域おこし協力隊へ

大学卒業後、福岡県内のガス会社に就職しましたが、海外で活動することに学生時代から関心を持っていました。

大学時代に所属していたサークルで、台湾や韓国からの留学生と交流する機会がありました。その時に、それぞれの国にも海外で活動するボランティア制度があることを知りました。さらに熊本地震の際、物資支援のボランティアに参加したときに、海外から駆けつけた人たちとも出会いました。

「海外でボランティアをするのは、どんな感覚なんだろうと興味が湧きました」

そうした経験からJICA海外協力隊を志し、派遣が決まっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって派遣が延期。先の見えない状況のなか、新たな選択肢として目に留まったのが島原市の地域おこし協力隊でした。

当時募集されていたミッションは、歴史文化遺産や史跡のPR。パンフレット制作やSNS発信など、独学で身につけていたデザインのスキルを活かせそうな仕事でした。

また、島原半島はまったく知らない土地ではありませんでした。大学時代には、長崎の潜伏キリシタンに関連する遺産をテーマに卒業論文を書き、調査のために島原半島を何度も訪れていました。

「もともと研究テーマにしていた場所だったので、ここで活動してみたいと思いました」

こうして中尾さんは、島原市の地域おこし協力隊として活動を始めました。

短い期間でも人脈をつくり活動を形に

パンフレットで紹介した旧島原藩薬園跡は幕末に開墾された国指定の史跡
パンフレットで紹介した旧島原藩薬園跡は幕末に開墾された国指定の史跡

着任した2020年6月は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時期。イベントの開催は制限され、市役所職員や住民との交流もままならない状況でした。

そこで中尾さんが自ら考え取り組んだのが、歴史遺産と周辺の飲食店を組み合わせたパンフレットの制作です。史跡だけを紹介するのではなく、そこを訪れたあとに近くのお店にも立ち寄ってもらえたらと考え、島原市内の飲食店を一軒ずつ訪ねました。Instagramでも島原市内のランチや飲食店の情報を積極的に発信し、当時営業していた店の多くに足を運んだといいます。

地域との関係づくりも、特別な方法があったわけではありません。最初は教育委員会の職員から史跡の管理に関わる人や写真家を紹介してもらい、そこからさらに地域の人や飲食店を紹介してもらいました。紹介された店には実際に足を運び、食事をし、話を聞きました。そして、一度だけではなく何度も通いました。実際にパンフレットに掲載したハンバーガー店には、10回ほど通ったそうです。

「信頼関係を築くためには、何回も出向いて顔を合わせるという方法が一番多かったですね」

パンフレットへの掲載も自ら店に交渉した
パンフレットへの掲載も自ら店に交渉した

活動の成果を実感する瞬間もありました。3〜4種類ほど制作したパンフレットを観光施設などに設置し、定期的に見に行くと、置いていたものがなくなっていることがありました。Instagramで発信した飲食店情報にも、コメントやダイレクトメッセージが届きました。
自分で考えてつくったものが、誰かの手に届いているとわかり、嬉しかったといいます。短い活動期間でしたが、中尾さんにとって初めて地域のなかで人脈を築き、自分の仕事をつくる経験になりました。

ルワンダで地域課題の解決に取り組む

水不足になりやすいルワンダにおいて井戸の修繕は重要な課題
水不足になりやすいルワンダにおいて井戸の修繕は重要な課題

少しずつ顔を覚えてもらい、その人からまた別の人へとつながる。この人間関係の広げ方は、遠く離れたルワンダでも活かされることになります。

JICA海外協力隊の派遣が再開されることになり、中尾さんは地域おこし協力隊を退任しました。当初予定されていた派遣先から変更となり、向かったのはアフリカのルワンダでした。

現地で携わったのは、井戸の管理や修復に関する活動です。ルワンダでは水道などのインフラが十分に整っていない地域もあり、井戸は暮らしを支える大切な存在です。一方で、壊れた井戸があっても、どこに修理を頼めばいいのか分からない、どの部分が壊れているのかうまく伝えられないといった課題がありました。

そこで中尾さんたちが考えたのが、QRコードを使った修理依頼の仕組みです。井戸にQRコードを付け、住民がスマートフォンで読み込み、壊れている場所などを入力すると、修理を担当する団体へ情報が届くようにしました。

ただ、この仕組みで実際に運用を始めるには時間がかかりました。電話で伝えるのか、地域の代表者を通すのか、それとも別の方法がいいのか。試行錯誤するなかで、現地の飲食店にて注文方法にQRコードが用いられていることに気づきました。

「QRコードが連絡方法として活用できるのでは?」

一つの地域で試験的に設置し、使い方を伝え、改善を重ねました。本格的に運用が始まったのは、帰国する半年前でした。

人から人へつながる方法はルワンダでも同じ

ルワンダで活動を進める時にも、地域おこし協力隊員時代と共通の方法を実践したといいます。
まず、その地域で人脈を持っている人に相談し、そこから課題を知っている人や地域の代表者を紹介してもらい、少しずつネットワークを広げていきました。

島原市では教育委員会の職員から地域の人を紹介してもらいましたが、ルワンダでも、水に関係する行政機関の職員などに相談し、そこから地域へ入っていったといいます。

「地域おこし協力隊で、どの人を頼ってネットワークを広げていくかというのを経験していたので、JICAでも同じようなやり方をしました」

島原市でパンフレットやSNSの画像を制作していた経験も、QRコードのデザインや、現地の学校で行った衛生教育のチラシ制作に活かされました。隊員時代に身につけたさまざまなスキルが、ルワンダでの活動にもつながっていきました。

一方で、活動環境には地域おこし協力隊との大きな違いもありました。

「地域おこし協力隊には自分に割り当てられた活動予算がありますよね。でもJICAには、それがありません。自分が今持っているスキルとか、アイデアだけで解決しないといけない。そこはJICAの方が難しかったですね」

QRコードを取り付けるためのプレートも、現地の修理店などから端材を譲ってもらったといいます。加工できる人を探して穴を開けてもらい、できるだけお金をかけずに仕組みをつくっていきました。

英語と現地の言葉どちらも話せる人と友人になり通訳も依頼した
英語と現地の言葉どちらも話せる人と友人になり通訳も依頼した

地域おこし協力隊とJICA海外協力隊は、国内と海外という大きな違いがあります。しかし、両方を経験した中尾さんは、活動の根本には共通するものがあると感じています。

「大枠のテーマは与えられるんですけど、それをどう解決するか自分で考えないといけないところは同じですね」

地域おこし協力隊であれば、地域の魅力を発信する、観光を盛り上げるといったミッションが提示されます。しかし、具体的に誰に会い、何をつくり、どう動くかまで決められているとは限りません。JICAも同じでした。現地の課題を知り、自分で人に会い、使えるものを探し、その場所に合った方法を考えていきます。

場所も課題も違いますが、地域に入り、自分で答えを探していくという仕事の進め方は共通していました。隊員だった時の経験は、あらゆる仕事や場所で活かせています。

地域おこし協力隊員経験が地域の人と県庁の仕事をつないだ

約2年間のルワンダでの活動を終え、日本へ帰国後、次の仕事として選んだのが公務員です。早くから帰国後のことを考え、ルワンダに参考書を持ち込み、仕事が終わった後に試験勉強していたといいます。
地域おこし協力隊として活動していた島原市や長崎県、国家公務員など複数の試験を受け、最も早く採用が決まった長崎県庁への入庁を決めました。

2024年4月に入庁し、最初に配属されたのは国際課でした。被爆体験講話や高校生による平和交流事業、JICA海外協力隊員とオンラインでつないだ平和学習などに携わりました。

ALTなど県内で活動する外国人を対象とした研修では、地域おこし協力隊員時代の経験が生きる場面もありました。地域で活動している現役隊員を訪ね、まち歩きをしたり、地域づくりの現場を紹介したりするプログラムを担当しました。

「現役の地域おこし協力隊員がどんな活動をしているか想像できるので、つなぎやすかったり、アイデアを出しやすかったりしました」

国際課では改めて長崎県の被爆の歴史と向き合った
国際課では改めて長崎県の被爆の歴史と向き合った

その後、企業振興課へ異動になり、現在は長崎県東京事務所に勤めています。業務内容は、長崎県内の企業と関東・関西圏の企業をつなぐことです。ここでもまた、人と人、地域と外をつなぐ役割を担っています。

東京から長崎を見るようになり、改めて気づいた長崎の魅力もありました。その一つが水産業です。

「東京に来て、長崎は本当に魚が美味しいなと改めて感じました。高級店だけではなく、何気なく入ったお店でも美味しい魚を食べられます」

住んでいると当たり前に感じてしまうことも、県外に出ることで地域の強みとして見えてきたといいます。

「観光名所があるだけではなく、水産業が強いなどさかんな産業があるから、その仕事に従事する人がいると伝えられたら面白いと思います」

水産業だけでなく、長崎にはどんな産業があり、地域の暮らしや人とつながっているのか。これからは、外に出たからこそ見えてきた長崎の魅力をさらに深掘りし、長崎に暮らす人自身にも地域の強みを改めて感じてもらえるような仕事ができたらと話します。

自分で考え形にする経験を楽しんで欲しい

地域の人との交流も地域おこし協力隊ならではの経験
地域の人との交流も地域おこし協力隊ならではの経験

最後に、これから地域おこし協力隊を目指す人や、現役地域おこし協力隊員へのメッセージを聞きました。

「一般企業にいると、自分で考えて、人脈をつなげて、自分が考えたものを形にするという経験は、なかなかできないです。地域おこし協力隊の他に、このような経験をできる機会は少ないのかなと思います。興味を持った地域だったり、募集されている仕事を面白そうだなと思ったりしたら、一回入ってみるのもありだと思います」

中尾さん自身、島原市の隊員として活動したのは約9か月です。新型コロナウイルスの影響でイベントや交流の機会が限られるなかでも、地域の人に何度も会いに行き、紹介をきっかけに人とのつながりを広げ、パンフレットやSNSで仕事を形にしていきました。

人から人へとつながりながら自分の仕事をつくった経験は、海を越えたルワンダや、長崎県庁でも活かされてきました。活動する場所が変わっても、人に会い、地域を知り、目の前の課題に対して自分にできることを考える経験は、中尾さんのその後のキャリアにも、確かにつながっています。

地域おこし協力隊の経験はその先のキャリアにもつながる

今回、中尾さんの話を聞いて印象に残ったのは、地域おこし協力隊とJICA海外協力隊で得た経験を、その後の仕事にもつなげていたことです。

島原市で身につけた人とのつながり方やデザインのスキルは、ルワンダでの活動にも活かされました。活動する場所や制度は違っても、自分にできることを考え、地域の人とつながりながら形にしていく点は、両隊員に共通する部分があります。

また、中尾さんは、制度や環境の制約だけでなく、そこで得られる経験や面白さにも目を向けていました。地域について深く知り、地域の人とつながり、自分で考えたことを形にできる点は、地域おこし協力隊の魅力の一つです。

地域おこし協力隊員として得た経験は、場所や立場が変わっても、その先の仕事に活かせます。任期中には「その地域で何をするか」だけでなく、「ここで得た経験をどう活かしていくか」という視点を持つことも、退任後のキャリアを検討するうえで大切な考え方なのだと感じました。

自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト

地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。

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