
人生を「きまま」に楽しむ。人口400人の漁村での心豊かな暮らし
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
長崎市野母崎(のもざき)地区の地域おこし協力隊として活動した菅原洋樹(すがわらひろき)さん(画像右)。現在は「きまま焙煎所」と「民泊トンボロ」を運営しています。
野母崎半島は本土最西南端に位置する、南国ムード漂う港町。菅原さんが暮らすのは半島の端っこにある人口約400人(2025年5月時点)の小さな島です。
野母崎の地でどのような体験を経て、現在の暮らしに行きついたのか、その道のりを聞きました。
<菅原洋樹さんプロフィール>
秋田県出身。東京で飲食店に勤めた後、東日本大震災を機に始めた旅をスタート。長崎県在住の知人の紹介で地域おこし協力隊制度を知る。着任した野母崎の地で真希さんと出会い結婚。2011年10月〜2014年9月 長崎市野母崎地区の地域おこし協力隊として活動
2014年~2017年 コミュニティカフェリップル内でカフェを営業
2017年 コミュニティカフェリップル内のカフェの名を「きまま焙煎所」に改名
2019年4月 現在の場所に「きまま焙煎所」を移転、同年カフェと並設して「民泊トンボロ」をオープン
海の家跡地でコミュニティカフェを運営
菅原さんが着任した2011年は協力隊制度はまだまだ草創期。野母崎での活動は、手探りの連続だったと菅原さんは振り返ります。マニュアルもない中で、自ら考え、動き、地域の人々と関わりながら活動を創り上げていきました。当初は与えられた公用車やネット環境も不十分で、苦労も多かったそうです。
そんな中で生まれた活動の一つが、解体されるはずだった海の家を再活用したコミュニティカフェ「リップル」です。

リップルで開催したライブイベント地元の人々が「なくすのはさみしい」と感じていたこの場所を、菅原さんの手によって情報発信や交流の拠点として再活用することに。野母崎の情報を発信しながら、地域内外の人々が集まるイベント、さらには地質について学ぶことのできる「サイエンスカフェ」といったマニアックなイベントも開催しました。
トガったブロガーたちが集結!
隊員としての活動で、菅原さんが特に印象に残っているのが、ブロガーを集めて開催した2泊3日の「野母崎モニターツアー」です。ブロガーに野母崎の魅力を発信してもらう企画でしたが、その内容がかなりユニークなものでした。

モニターツアーの1枚。地域の民謡「樺島ハイヤ節」を参加者と一緒に踊った「当時は『インフルエンサー』っていう言葉もなくて、『ブロガー』が出始めのころだったんじゃないかな。普通のことをしても面白くないと思って、とにかく『トガった人』を集めることにしました。醤油・日本酒マニア、探偵をされていた方や、サンタクロース協会公認のサンタクロースとか。とにかく「変なひと」が集まりました( (笑) )。その人たちに野母崎を巡ってもらって、感じたことをありのままに発信してもらったんです」
このモニターツアー、最終的にかなり盛り上がって終えることになったそうですが、この記事で書けないくらいの濃い内容です...!詳しい内容が気になる方は、きまま焙煎所へ。
始めはうまくいかなかった空き家活用
3年間の任期を終えた後も、リップルでカフェ経営をしながら野母崎に留まることを決意。地域に残る大きな理由となったのが、任期中から感じていた地域の「空き家問題」でした。
「地方にいるからには空き家の活用にも何か貢献できたらいいなって思っていて。野母崎は集落が海に近いので、傷みやすい家が多いんです。でも、そうじゃない物件も探せばあります。地域の空き家情報を集めるようになってから、0円で譲ってもらえる民家と出会いました。そこをシェアハウスとしてリノベーションしようとしていたんですけど、建物の構造上の欠陥が見つかって、お店として使うのは難しいねって話になったんです。そのときはちょっと路頭に迷いましたね」
シェアハウス計画は無念の頓挫。菅原さんに大きなピンチが訪れます。
なんだかんだでうまくいく。動いてくれた地域の人たち
しかし、この苦い経験が現在の生業につながります。
「物件の欠陥を知ったときはどうしよう…って感じでしたけど、その時に周りの人が動いてくれて、今の『きまま焙煎所』になる物件を紹介してくれたんです。港の目の前だし、海が見えるように窓をつけてカフェをやったらいいんじゃないかなって。こういうとき、なぜかうまくいくんですよね。困った時には、わりとすぐ助けてくれる人が現れるというか」
と当時を振り返る菅原さん。なんだか助けたくなってしまう、そんなキャラクターがあるからこそだと思います。

野母崎の海を眺められる店内現在のきまま焙煎所は、家主さんがかつて自作したスペースを、菅原さんの知り合いの建築家に協力してもらってリノベーションしたもの。きまま焙煎所と連結している空き家が民泊スペースになっています。
海岸で拾った流木を大黒柱として使用するなど、店内には菅原さん夫婦らしさが詰まっています。「きまま」という言葉には、「気まま=自分の思うままにふるまうこと」と「喜儘(きまま)=野母崎にある地名」の2つの意味が込められています。

妻の真希さんが描いた野母崎の風景が印象的地域の子どもたちがテストの打ち上げで集まったり、かつて先生として活躍していた真希さんの教え子が来ることもあるんだとか!
妻の真希さんは野母崎の隣町出身。野母崎の小学校へ勤めていた時期に、旧校長住宅に当時住んでいた菅原さんと出会いました。2人ともコーヒーが好きだったことで、その後も会うようになったんだとか。きまま焙煎所は2人の共有地を具現化したような場所です。
漁村のありのままを感じられる民泊トンボロ
きまま焙煎所と並設しているのが「民泊トンボロ」。日本人ならば一度は見たことがあるような、なんだか懐かしい雰囲気が漂っています。

田舎に帰ってきたような安心感が広がる室内「トンボロ」はイタリア語で「陸繋砂州(りくけいさす)」の意味。建物がある場所の地形的特徴が由来となっています。
野母崎には軍艦島などの有名な観光名所があるものの、宿泊施設がほとんどありません。民泊トンボロは野母崎半島の最南端にある宿泊施設であり、地域のありのままの暮らしを感じながら過ごせる貴重な場所になっています。オープンした直後にコロナ禍となってしまいましたが、現在は利用客も少しずつ増えているそうです。
0円物件は絵画造形教室の場に
カフェと民泊営業の傍ら、菅原さんは地域での活動にも関わっています。かつてシェアハウスとしての活用が頓挫してしまった民家は、真希さんが主催する子どもたち向けの「きまま絵画造形教室」の活動拠点になっています。

アトリエの物は、ほぼ全て地域の人からのもらい物なんだとか拠点名は「アトリエ とんぼのめがね」。
「とんぼの めがねは みずいろめがね あおい おそらを とんだから とんだから」
というフレーズ、覚えてますか?とんぼの複眼のように子どもたちの目からは物事が色々な色に見えることから、それぞれの子たちが持つ異なる好奇心を認め、育む場となるように名づけられました。アトリエには子どもたちの個性が光る作品が並びます。

イセエビ、猫、夕日。野母崎らしい景色が映る目標は自家製コーヒー豆。飾らない夫婦のきままな暮らし
「暑かったら海に泳ぎにいく。そんな風にやりたいことをやればいい、と思うんです」
飾らない笑顔でそう語る菅原さん夫婦。よそもんとしてやってきた菅原さんは、移住約15年で確実に地域の色のひとつになっていました。
ちなみに最近の目標は「自分たちで栽培したコーヒー豆をつくること」なんだとか。ガチガチの目標や義務感に縛られず、きままに、自分たちらしく。地方での生き方のひとつを菅原さん夫婦は体現している。そんな気がします。
<きまま焙煎所 / 民泊トンボロ>
〒851-0506 長崎県長崎市脇岬町3630-1
営業時間/《喫茶》 13:00(日祝は12:00)〜夕暮れどき 《BAR》 19:00〜22:00(予約制)
定休日/水曜(祝日の場合は翌木曜)、土曜※最新情報はInstagramでご確認ください。
自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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