
働いてわかった、私のやりたいこと。「食と空間」を育てる、諫早での任期後のかたち
2026年10月更新
現在募集中の地域おこし協力隊情報
長崎県内の地域おこし協力隊に関心をお持ちの方へ。
弊社が自治体と伴走し、募集企画や受け入れ体制の設計などを支援している募集プロジェクトを紹介します。
地域のリアルやミッションの背景まで深く取材・把握している注目のプロジェクトです。
東京から長崎県諫早市へ移住し、地域おこし協力隊の空き家活用コーディネーターとして3年間活動した木下侑香(きのしたゆうか)さん。任期後は管理栄養士として保健指導の仕事に就きながら、月1回の料理教室など、「食」を軸にした活動を続けています。その仕事と暮らしに迫ります。
<木下侑香さんプロフィール>
東京都出身。管理栄養士。コロナ禍を機に移住を決意。
2022年10月〜2025年9月 諫早市地域おこし協力隊として活動。空き家活用コーディネーターとして、古民家を拠点にした料理教室やイベントの開催、駅前商店街でのマルシェ運営などに携わる。退任後は管理栄養士として保健指導の仕事に携わりながら、月1回の腸活料理教室の運営など、食を軸にした活動を続けている。
コロナ禍がくれた、「ワクワク」を探す時間
――隊員になる前は、どんなお仕事をされていたんですか?
東京の老人ホームで管理栄養士として働いていました。転機はコロナです。流行の初期に自分も感染してしまい、治ってからも時間があったので、これからの働き方をじっくり考えるようになったんです。
――そこから、なぜ隊員に?
何か「ワクワクすること」がやりたいなと探していたら、「地域おこし協力隊」というワードが出てきたんです。人と関わる仕事がしたい、自分で考えて動きたいという思いがあったので、「これだ!」と。
――数ある地域の中で、諫早市を選んだ理由は?
初めて見学に訪れた際に、市の職員の方や地域の皆さんがとても親切に接してくださり、「ここなら安心して暮らせそう」と感じました。案内の中で雑草が生い茂った空き家を目にしたときも、「大変そう」ではなく「なんだかおもしろそう」とワクワクして。市内全域で自由度高く活動できる環境や、都会すぎず田舎すぎない「とかいなか」なところも魅力に感じました。
人との縁が導いた古民家との出会い
――任期中の活動で、特に思い出深いことは?
着任して半年ほどで出会った古民家での活動ですね。公民館でのクッキー講座を手伝っていたときにオーナーさんと知り合い、「空き家があるんだよ」と聞いて、「私、空き家活用コーディネーターなのですが、今度見に伺ってもいいですか?」となって。そこから話が進んで、活動の拠点になりました。

活動の拠点となった古民家「ARATA邸」
https://www.instagram.com/arata.n_tei/――もともとは、どんな場所だったんですか?
もともと中島農園という農家さんのご主人が子どもの頃から暮らしていた、思い出のたくさん詰まった古民家です。昔は近所の方や友人が気軽に集まる賑やかな場所だったそうで、「昔のように、また人が集まる場所になったら嬉しい」という想いから活用を始めました。
――活用を初めてから、どのような変化が?
これまで地元食材で腸活をテーマにした料理教室や、移住者と地域住民の交流会などを開催してきて、今では市外・県外からも人が訪れる場になっています。初対面同士でも自然と会話が生まれ、帰る頃にはみんな打ち解けている。世代や地域を超えたつながりが生まれる「地域の居場所」になっています。

拠点となる「ARATA邸」オーナーの中島農園さん
(イラスト:諫早市地域おこし協力隊同期の伊藤優美さん作描)商店街活性化、イベントのお手伝い、そして「場づくり」の楽しさ
――空き家以外の活動について教えてください。
1年目に「灯りファンタジア」というイベントのお手伝いに声をかけていただき、そこから地域の方々とのつながりが広がりました。その中で諫早駅前の商店街の方ともつながり、通りを歩いてもらうためのマルシェを開催したり、高校生と一緒に商店街の活性化について考える取り組みに参加したりしました。

商店街の仲間たちと取り組んだ「金曜4時からマルシェ」――商店街の方々と関わってみて、いかがでしたか?
すごくアットホームで居心地が良くて、「いつでも来ていいよ」という、帰りたくなる場所ですね。商店街の活動を通して、私はみんなが楽しめる「場づくり」が好きなんだと実感しました。
――諫早市の同期の隊員との関わりも多かったそうですね。
ミッションは違っても連携することが多くて、一緒に東京へ行って物販イベントに出たこともあります。月に1回、市内の隊員が全員集まる定例会もあって、お互いの活動を報告し合っていました。
――ちなみに、諫早での暮らし自体はいかがでしたか?
暮らしやすいですね。市役所の近くの市街地に住んでいて、最初は自転車だけで十分生活できました。車を持ってからは行動範囲がぐっと広がって、諫早を中心にいろんな場所へ旅ができるようになりました。
任期後は一般企業へ就職。続く模索の日々
――2025年9月に退任されて、その後はどう動かれたんですか?
まず、任期を終えてすぐに期間限定でサンドイッチの販売をやってみました。諫早の食材を知ってもらえたらいいなと思って始めたんですが、これがすごく楽しくて。ゆくゆくは、旅をしながらキッチンカーをやりたいと企んでいます。
――就職はどのような経緯で?
やりたいこともあり、就職するか悩みはありました。管理栄養士の資格を持っていたので、専門的な知識を深められたらいいなぁと思っていたところ、たまたま今の職場を見つけて採用していただきました。現在は、保健指導をしたり、長崎県民の健康を守る仕事をしています!
任期後に就職して見えた、自分の原点
――働きながら、週末は地域での活動を続けているそうですね。
はい!月に一回、中島農園さんと野菜ソムリエプロの講師の方とARATA邸で地元の食材を使用した腸活料理教室の運営をしています。市外、県外から来てくださる参加者様もいて、様々な方との出会いがあります。

ARATA邸でのイベント風景――正社員として働いてみて、気づいたことはありますか?
保健指導の仕事では、一人ひとりの食事内容や生活習慣、悩みに寄り添いながら、一緒に目標に向かって改善に取り組みます。その過程で「これは地域おこし協力隊時代にやってきたことと似ているな」と感じることが多いんです。どちらも自分が主役ではなく、地域の方や対象者の方が主役。その人の想いや課題を聞き、一人ひとりに合った方法を一緒に考えながら前に進むサポートをする点が共通していて、大きなやりがいを感じています。
――仕事と地域活動の両立で、悩むことはありませんでしたか?
そうですね。隊員時代とは違い、地域活動に使える時間はどうしても限られます。「自分はなぜ諫早に移住してきたのだろう」と原点を見つめ直していた頃、久しぶりに商店街で地域の方とお話する機会があり、「やっぱり私はこの場所が好きだな」と実感したんです。人とのつながりや、地域の中で何かを生み出していく時間に、大きなやりがいを感じていることに気づきました。
「食」と「空間」をキーワードに、これからの挑戦
――これからの展望を聞かせてください。
これからは、「食」と「空間」をキーワードに、自分らしい働き方や、諫早でやってみたいことをのんびり模索していきたいと考えています。これまで関わってきた諫早の方々とも、今まで以上に深く関わりながら、一緒に地域を盛り上げていけたらと思っています。
――具体的な計画はこれから固めていく感じですか?
そうですね。私は最初から完璧な計画を立てるというより、実際に動きながら形にしていくタイプです。いろいろな人と出会い、挑戦を重ねる中で、自分らしい形が見えてくるのではないかと思っています。諫早で出会った人たちには本当によくしていただいたので、これからもこのまちで暮らしながら、魅力を伝えたり、少しずつ恩返しができるような活動を続けていきたいです。
動きながら、自分らしい形を見つけていく
コロナ禍をきっかけに東京から諫早へ。空き家と人をつなぐ3年間を経て、任期後は保健指導の仕事にもやりがいを見いだしながら、「食」と「空間」を軸に自分らしい活動を続ける木下さん。拠点となる古民家ARATA邸には、今日も食と笑顔を求めて人が集まっています。動きながら形を見つけていく――そんな歩みは、任期後の道を模索する現役隊員や、これから協力隊をめざす人にとって、ひとつのモデルになるはずです。
自治体と弊社が二人三脚で設計した、安心の協力隊募集プロジェクト
地域おこし協力隊への挑戦を検討している方へ
今回ご紹介した記事のように、地域で活躍するためには「地域の受け入れ体制」や「本音のコミュニケーション」が欠かせません。
弊社では、着任後のミスマッチを防ぐため、自治体に伴走して募集ミッションや受け入れ環境の設計からサポートしています。
現在、その取り組みの一環として各自治体で新たな仲間を募集中です。受け入れ体制がしっかり整った環境で挑戦したい方は、ぜひ募集記事をご覧ください。
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